海外の暗号小説
[セ行 作品]
作品名 聖なる暗号   (SPLINTERED ICON)
著者名 ビル・ネイピア   (Bill Napier)   (訳:三角 和代)
発行日:2006.3.31
出版社:早川書房
形式:ハヤカワ文庫(NV1111)
目次
第1部 神の経度
第2部 ビザンチンの十字架
第3部 星の導き
ストーリーの概要

 古書と古地図の販売を営むハリーは、地元の名士・デビットから古い文書(先祖が書いたと言われる手記)の鑑定を依頼された。それは暗号で書かれた手記で、この手記を狙って怪しげな人物が次々と現われ、依頼主・デビットが謎の死を遂げる。
 ハリーは航海史を研究する女性ゾーラとともに手記の解読を進め、その内容に驚愕する。手記は16世紀の少年・オーグルヴィーの航海記録で、ヨーロッパを揺るがす暗闘とキリスト教最大の遺物の存在が記されていた。
ハリーとゾーラは、デビットの娘・デビー、宗教遺物の専門家・ドルトンと、手記に示された遺物を捜しに行くが、それを奪おうとする集団に襲われ捕らわれ命を狙われるが、第2の手記の暗号を解くことを条件に当面殺されずにすむ。

少年が書いた手記そのものも冒険物語のようで面白い。イギリスからアメリカ大陸へ向かう船中での話し、あるいはエリザベス1世時代の暦、英国王の後継者争いの話等があり、過去と現在の二つの物語が、交互に展開する。

暗号について
第1の手記、第2の手記ともに速記録である。ただし、その速記がどの種類の速記を使ったのか専門的な知識の無いものには分からない。その点でみると暗号であろう。ハリーの知識は、それを解読するには十分ある。第1の手記は、その暗号を解く過程はストーリーには殆ど出てこない。第2の手記は、少々凝っている。1586年に英国でのエリザベス女王とメアリーの争いにおいて、メアリーが仲間のバビントンとの間で使用した暗号の話が出てくる。
また、第2の手記を解読した文中に、2重暗号があり、その暗号の解読は、最後のメインテーマとなっている。その暗号を解読すれば、キリスト教にとって貴重な遺物がかくされている場所が分かるのだ。
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