海外の暗号小説
[ク行 作品]
作品名 黒後家蜘蛛の会 2     (More tales of the black widowers)
著者名 アイザック・アシモフ  (Isaac Asimov)     (訳:池 央耿)
発行日:1978.7.14
出版社:東京創元社
形式:創元推理文庫
目次(短編集)
1 追われてもいないのに
2 電光石火
3 鉄の宝玉
4 三つの数字
5 殺しの噂
6 禁煙
7 時候の挨拶
8 東は東
9 地球が沈んで宵の明星が輝く
10 13日金曜日
11 省略なし
12 終局的犯罪
ストーリーの概要
「黒後家蜘蛛の会」の面々が顔をそろえるや、推理談義に花が咲く。
博識多才な万能作家アシモフの博覧強記ぶりを遺憾なく発揮する連作短編の数々。お得意の宇宙科学からトールキン、果てはシャーロッキアンに関するまでのマルチ・アングルから材を採ったアシモフならではの推理譚。ヘンリーの叡智は今夜も冴えわたる。
1974年から1975年にかけて雑誌に発表された9編に、未発表作品3編を加えて、1976年に出版された。
暗号について
4 三つの数字
* 金庫の鍵番号。「12R 27 15」。何回やっても開かない。スペースがなければ「12R2715」。「271」だの「715」にはならない。上前の数字は30までしかない。
* ヘンリーの解答:
 ・ [R]は大文字?・・・・ 「いや小文字だった」
 ・ 書かれた文字は手書き?それともタイプライター?・・・・タイプライターだった「12r2715」
 ・タイプライターには特殊な原則がある。数字の「1」と12番目の文字「l」を一つの活字で共用しているのです。
  従って「1」は「LEFT」の「l」でしょう。すると「左」2、「右」37、「左」5ではないでしょうか。

 「EQMM」1947.9号に「鍵は読み方にあり」の題名で発表。
5 殺しの噂
* 学生の話が聞こえた。「マーダー(殺し)」と言った。
* ヘンリーの解答:
 ・ 言語学上、外国語を学ぶ際最も難しいのは母音。外人訛りにも母音の発音の差がある。「マーダー」は「モーダー」ではないでしょうか?
 ・ 学生の話は、殺人の話ではなくトルーキンの「指輪物語でしょう。その本に出てくる誌を暗記していたのでは?
 誌には「モーダーの国」が二度出てくる。「ベルを鳴らす」と聞こえたのは「一つの指輪(リング)」でしょう。
 「EQMM」に原稿を送ったが拒否された。「F&SF」に送ったら、1974.10号に発表された。

7 時候の挨拶
* 郵便物が誤配された。名前はあっているが、中身が酷い。
  住所や名前に暗号が隠されているのではないかと、議論が始る。
*  ヘンリーの解答:
 ・ 住所や名前には間違いや暗号はない
 ・ 郵便配達夫が、途中で抜き取るはずだったのを、抜き取らなかったためでしょう。
 「EQMM」で拒否された作品。未発表だった。

8 東は東
* 遺産相続の条件としてある都市の名前を当てること。「唯一無二の東」に当てはまる都市名。
* ヘンリーの解答:
 ・ニュー・ジャージーは、歴史上初期のある時期に、東西二つ、イースト・ジャージーとウェスト・ジャージーがあった。
 ・イーストのつく都市名は、アメリカではこの「イースト・ジャージー」しかない。
 ・「バース・アンボイ」がその首都でした。
 「EQMM」1975.3に発表。

11 省略なし
* 叔父の遺産の一つである「切手」が見当たらない。収集していた本「アンナブリッジド本」の中にあるはずだ。
* ヘンリーの解答:
 ・ 「アブリッジ」本とは、内容を省略ないしは簡略化したもの。カットしたもの。「アンナブリッジド」とは省略されていない本、アンカットです。叔父上が「アンカット本の1冊」と言ったのを、「伯母上は好みの言葉「アンナブリッジド」と言ったのでは?
 ・ 「アンカット」とは、簡略化していないという意味の他に、化粧立ちして小口をそろえていない造本のこともある。
 ・ ちょうど、本のページが袋のようになっている。その中ではないでしょうか?
 未発表作品
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