海外の暗号小説
[セ行 作品]
作品名 聖協会最古の秘宝 上・下
著者名 ポール・サスマン (Paul Sussman)   (訳:黒原 敏行)

発行日:H18.4.25
出版社:角川書店
形式:角川文庫
目次
上巻:
第1部 現在
第2部 1週間後

下巻
第2部 1週間後(承前)
第3部 三日後
ストーリーの概要
古代ユダヤの秘宝を巡る、歴史伝記サスペンス

エジプト
ルクソールの遺跡で老ホテル経営者ヤンセンが変死体となって発見された。
単純な事故死かと思われたが、15年前のユダヤ人旅行者殺人事件とこの老人の関わりに気付いたルクソール警察ハリファ警部は、エルサレム警察と共同で過去の事件を洗い直すことにする。
というのも、15年前の旅行者殺害の容疑者がヤンセンだったのだ……

同じ頃、パレスチナ人ジャーナリストのレイラは、特大スクープをほのめかす匿名の手紙を受け取っていた。
ある人物が長年守り続けてきた秘宝を別の組織へ渡して欲しいという内容で、ある暗号文が同封されていた。
解読された古文書は、12世紀の十字軍騎士の手紙で、古代ユダヤの秘宝を発見したというものだった。疑念を抱きながら調査を進めるレイラだが、この秘宝にはヒトラーも強い関心を抱いていたことが明らかになる。

一方、過去のユダヤ人殺しの捜査を進めていた刑事たちは、老人がナチスの残党であったことを突き止めたのだが…。
複数の謎が絡み合いながら示す先にある秘宝とは!?

エジプト人の刑事、イスラエル人の刑事、パレスチナ人のジャーナリストの3人が絡み会いながら展開、国境・時間も越えた様々な物語が一つに終結していくストーリーは圧巻。
暗号について
パレスチナ人ジャーナリストのレイラが、受け取った匿名の手紙に入っていた暗号文。

かなり古い文書。文字はローマ字、単語や文に区切られていない、一続きの文字の連なりで、何語か分からない。末尾に"GR"のイニシャル。
・ 中世初期の文書みたい → 中世初期の暗号作成術は初歩的 → 換字式か転置式
・ 転置式と換字式を組み合わせたもの 
  → まず単一換字式で暗号化・・・アルファベットを5文字右にずらす・・G.esclarmondae→B.znxfumgihyuz
  → 次に第1の文字と第2の文字を、第3の文字と第4の文字を、第5と第6と入れ替えるという転置式だ
    bとz、nとx、fとuという具合に
・GR → ウィリアム・ド・ルランクールでは?・・これではWRだ・・・フランス人だから”ギョーム”・・・GRだ
      聖墳墓教会を作った人物

15年前に殺された被害者が死ぬ前に残した言葉・・・「トート」、「ツファルディア」・・・・所謂ダイイング・メッセージ
トート → エジプトの学問と知恵の神・・・実は聞き間違い → 「ホート」だった。
       ホート・・・ディーター・ホート・・・殺されたヤンセンの本名 → ナチス党員で、考古学者
ルファルディア → 蛙 → ヤンセンの足には先天的な異常があり、水かきがついていた

*その他、国ごとの言葉の違い、年代による言葉の違いが一種の暗号のように謎解きに絡んでいる。
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