日本の暗号小説
作者名 海野 十三
作品名 暗号数字       (「海野十三全集 第5巻 浮かぶ飛行島」所収)
初出:「現代」大日本雄辯會講談社;1938年3月

発行日:1989.4.15
出版社:三一書房
形式:文庫
目次
なし(短編)
ストーリーの概要
青年探偵帆村荘六ほむらそうろくは、某方面からの依頼で、面倒な事件に忙しい。
多種多様の諜報機関が、国内で活動した時期。わが国の通信事業は官庁の独占・監督下にあったため、比較的取締に都合がよかった。帆村荘六が事務所に備えつけていた最新式の短波通信機も当局の臨検にあったが、某方面の仕事を命ぜられていたので、押収を免れた。
ある日、「――実は、こっちは内務省なんですが、秘密に貴下の御力を借りたいのです」と電話がかかり、日比谷公園で待ち合わせた。
「実は今有力なる反政府団体があり、
上海にある本部から毎日のごとく指令が来ますが、その通信は秘密方式の無線電信であって、もちろん暗号を使っています。」
「問題は、その暗号解読の鍵なんです。それがどうも分らない」そこで依頼事項はその暗号鍵を探る事です。
帆村は敵の指令を読み取り、指示に従い各地を回り、鍵の解読に掛かる。
しかし、何故か答が二つになる。「一杯食わされたのか!」
暗号について
* 送ってくる暗号文は六の数字式。つまり、123456 といったような六桁の数字が、AとかBとかいう文字を示しているのです。
 その暗号では
となる別の六桁の数字を加えてある。たとえば「 330022」 だったとすると、暗号文のどの数字にもこれが加えてある。だからAが 123456 だと「 453478」 として送ってくる。これが、一ヶ月ごとに変る。今月 330022 だったとすると、来月は 787878 という風に。

*敵から入手した看板に紫外線灯をあてると鍵の解読に関する指示が浮かんだ。その指示からは一部しか判読できない。そして次の指示が書いてある。
 それを8回繰り返して、解読すると答が二つ出てくる。
 (虫食い算のちょっと複雑な数学)
inserted by FC2 system