日本の暗号小説
作者名 加治 将一
作品名 幕末維新の暗号
発行日:H19.5.1
出版社:祥伝社
形式:四六判
目次

1  謎の古写真
2 宣教師・フルベッキ
3 諜報部員
4 血脈
5 教え子
6 大隈重信の沈黙
7 闇の中の天皇
8 明治新政府の陰謀
9 解かれた封印
ストーリーの概要
歴史作家・望月真司のもとに届いた一枚の古写真。
 それは幾度となくマスコミにも取り上げられた、いわくつきの代物だった。被写体は総勢四十六人。書き込まれた名前によれば、坂本龍馬、西郷隆盛、高杉晋作、岩倉具視、大久保利通、中岡慎太郎、伊藤博文、さらに桂小五郎、勝海舟…と幕末の志士たちが勢ぞろいしていたからだ。荒唐無稽―だが、まがい物と片づけられてきた写真を仔細に検証すると、被写体と実在の人物が次々に合致していった。

 この古写真はなぜ撮影され、そして歴史の彼方に葬り去られたのか。
 望月は、面会した岩本老人の熱意と鋭い分析から徐々に興味を抱き、該博な知識を持つ桐山ユカと共に、写真の謎の解明を試みる。岩本は、写真には「陰謀」が隠され、そのため歴史から抹殺されたと主張した。

 謎を追ううちに、望月は写真に込められた「秘密」に突き当たる。それは明治政府の重大なタブーに触れるものだった。

 そんな矢先、岩本は失踪の果てに死亡。残されたのは岩本からの謎めいた手紙と旅程表だった。望月はそれに導かれるように奈良県吉野、佐賀、長崎、鹿児島、そして岩本が絶命した山口県柳井を巡る。訪ねた土地土地で、望月は「写真」に塗り込められた、ただならぬ「秘密」を知る。

目次の細部
1  謎の古写真
  手紙/坂本龍馬と小松帯刀/英国諜報部員の暗躍/志士たちの名前を書き込んだ画家/勝海舟の正体
2 宣教師・フルベッキ
  「写真」の伝説/不自然なスタジオ/フリーメーソン/岩倉使節団の立ち寄り先/視線
3 諜報部員
  メディアの反響/学界からの使者/龍馬の耳/消えた男/収穫/蠢くスパイ
4 血脈
  三人の少年/訃報/「仮りそめの宿」/皇位/建武の新政/「吉野朝」と明治維新
5 教え子
  フルベッキと佐賀人脈/怒れる士族/謎の処刑/秘密結社/「南」と「楠」/罠
6 大隈重信の沈黙
  グラバー邸の謎/追われた公家/五人の佐賀藩士/大隈重信と二冊の本/大物/南朝の地下水脈/マーク
7 闇の中の天皇
  「梟」/隠蔽/仮面の西郷隆盛/二人の「帝」/華族の真実/天皇毒殺/豹変した親王
8 明治新政府の陰謀
  「玉」を操る一派/「すべて」を知っていた女/「奥」と「表」/回収された「天皇の顔」/西南戦争の蔭に/寅之祐の街/菊の契り
9 解かれた封印
  もう一人の追跡者/南朝革命/陸援隊の正体/ミカド/凶刃/写真を撮った謎の人物/筆跡/菊花紋章の意志/遺言/骨
暗号について
この謎の写真を解明していく過程が暗号解読そのもの。
小説形式だが、内容的には歴史の謎を解くノンフィクションの部類かと思える。
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