日本の暗号小説
作者名 高林 さわ
作品名 バイリンガル
発行日:?2013.5.20
出版社:光人社
形式:46判

島田荘司選第5回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作
目次
第1章 アメリカ生まれ
第2章 日本人会のパーティー
第3章 言いまちがい
第4章 血の海
第5章 母と娘
第6章 ミシガン湖畔
第7章 イコール、マイナス、プラス
ストーリーの概要
 アメリカの大学都市で30年前に起きた母娘誘拐事件―。
 複数の死亡者を出した凄惨な事件で生き残ったのは、当時3歳の少女・ニーナ。
 事件のあった町を避けるように日本に帰ってきた永島聡子は、ある日、一人息子の武頼が連れ帰ってきたニーナを名乗る女性に、事件の記憶をためらいながらも語りはじめる。
 解決したはずの事件の真相は、30年の時を経て衝撃の様相を呈し・・・
暗号について
☆ 言語障害を持つ子の会話が暗号

* 誘拐された娘との会話・・・幼い子は完全な言葉を話せない
 言語障害特に構音障害は、元の語と言い間違った語の間に変化の法則がある。子音と母音の、構音の位置と構音の方法がわかっていれば、元の語を探り当てることは不可能でない。
*ニーナ(誘拐された子)が話した言葉
・キャメロン邸の庭で
 1「トトトト・・・、テディー・ゴナ・ビ・ア・ティラー?」
 2「ティラー」
・シカゴからの電話で
 3「マミー?」
 4「フアイン。ウェアズ・マミー」
 5「ウェル、ウィバップ」
 6「ノウ。アー、ワビ」
 7「ノウ。ノッ・ワビ。ワ、ビ」
 8「ウェル、ウィ・ハド・ビグ・ヤパー。アッ・ヤパー・イン」
 9「アイ・ドン・ノウ。ビコーズ・イッ・ノッ・ヤパー。イッツ・ラバー、ワビ」
・ハモンドからの電話で
 10「プリーズ、プリーズ・ドント・チルパイ」
 11「ウェル、テル・ヒム・プリーズ・・・」
 12「ウェル、ウェル、トトト・・・、テディ」
 13「オオ、テディー。・・・アイ・ラブ・パイ。ソウ、プリーズ・テル・ヒム・ドント・チル・パイ」
 14「アー、トト・・・、テディ」
 15「ウェル、ウェル・・・ダ、ダ、ダディー」
 16「ウェル、ヒ・イズン・ダディー。・・・ヒー」
 17「ウィズ・ヒズ・ピス」
*ニーナが構音障害を患っていることを前提にして考えれば、このリストはまさに言語科学で解明すべき暗号であった。
*子音と母音の表・・発音記号

解読の例:1番
・ダディ ビー・ゴーイング・トゥー ア キラー・・・「お父さんは人殺しになるのでしょうか」

*このように言語障害者の言葉を解読していき、誘拐・殺人の真犯人を突き止める。
 →なかなか面白い発想の暗号及び解読であると思う。(暗号らしくない暗号、本人は暗号とは思っていない)



☆ ダイイング・メッセージ
*「= ― +」(イコール マイナス プラス)
 ・誘拐された子の名前・・・「ニーナ」
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