日本の暗号小説
作者名 乾 くるみ
作品名 カラット探偵事務所の事件簿 1
初出:2008.9PHP研究所

発行日:2011.3.29
出版社:PHP研究所
形式:文庫
目次
File1
 「卵消失事件」
File2 「三本の矢」
File3 「兎の暗号」
File4 「別荘写真事件」
File5 「怪文書事件」
File20 「三つの時計」
ストーリーの概要
あなたの頭を悩ます謎をカラッと解決いたします!
浮気調査や信用調査などを扱う普通の私立探偵とは異なり、謎解きだけを専門に扱うカラット探偵事務所。 探偵・古谷と助手・井上は毎回事件現場を訪れ、持ち込まれた事件を鮮やかに解決する!
井上は体調を崩していた新聞記者、高校の同級生だった古谷に誘われ、記者を辞め、古谷が開く探偵事務所で働くことになる。
広告は出さず、謎解き専門――という浮世離れした古谷の方針に当然、最初は依頼などなかったのだが……。

◆File 1「卵消失事件」
  作家の妻が、夫の浮気調査を依頼してきた。
  何でも彼女の夫は、ファンの女の子とメールのやり取りをしていて、その子の影響で、鉄道ファンでもないのに《電車でGO!》というゲームをやり始め、それを話題にメールで盛り上がっているらしい。
  そんな夫がある日、烏骨鶏の卵のパックを買ってきたのだが、帰宅して見てみると、未開封のパックから、なかの卵が忽然と消えていたという。 その日のメールには《烏骨鶏、横にずれ消えた!》という謎の一文があり……。

◆File 2「三本の矢」
  フジタカチェーンの社長・藤村隼人氏の家に、矢が二本、射ち込まれた。
  その矢は、藤村家のものであったため、内部犯の可能性が高いと考えられたが、藤村家には弓が存在しないのだ……。
  隼人氏には、三人の息子がおり、それぞれの適性に合わせ、ゴルフ、釣り、ラジコンといった趣味を持たされているのですが、それらの特性を巧みに活かす物理トリックが読みどころです。

◆File 3「兎の暗号」
  十六年前に亡くなった石原卯吉が、三人の子どもに遺した暗号歌。どうやら、宝の隠し場所が、読み込まれているだ。
  三首の暗号歌には「兎」という言葉が読み込まれていること、そして石原家の敷地が漢字の「田」に見立てられることから、古谷は漢文の『株を守る』を連想し、それを糸口に暗号の解読を進めていきます。
  
◆File 4「別荘写真事件」
  依頼人のもとに届けられた差出人不明の手紙には、十年前に失踪した父が生きていると書かれていた。
  その手紙には、二枚の写真が同封されており、この写真が写された場所に、依頼人の父がいると思われるが……。

◆File 5「怪文書事件」
  物利根団地の住人の不倫を告発する怪文書が、団地内の複数の家に郵送される。怪文書は時期をあけて三種類出回り、三軒の家の奥さんが標的にされたのだが……。
  古谷は、今回の犯行が《ABCパターン》と早々に見抜き、あっさり犯人にたどり着きます。

◆File 20「三つの時計」・・・(ファイル番号が間違っているわけではない)
  古谷と井上の旧友の結婚式で語られる《日常の謎》。
  新郎新婦は、どんな交通手段を使っても約束の時間に目的地に到着するのは不可能な場所にいたにもかかわらず、なぜか時間通りに到着できたという……。 
  本作の結末では連作を通じての大仕掛けが仕組まれている。
暗号について
◆File 1「卵消失事件」
 ・やり取りされたメールは、一見すると何でもない、戯れごとがかかれている。しかし、(←・・・)と←が書かれている個所が。
 ・その←の前の文字を逆に読むと・・・簡単な暗号連絡

◆File 3「兎の暗号」
 ・三人の子どもに遺した暗号歌。三首の暗号歌には「兎」という言葉が読み込まれている。
 ・宝の隠し場所が、読み込まれている。
 ・石原家の敷地が漢字の「田」に見立てられることから、それを糸口に暗号の解読を進める。
 ・九星方陣や文字列変換などが駆使された、「暗号」。なかなか凝った暗号を見事に解読する。

◆File 4「別荘写真事件」
  ・真相究明の過程で出てきた言葉が、3×3のクロスワードに見事に埋まる。
  ・そのクロスワードを「サザンクロス」と命名?・・・父親がいたところがオーストラリア・・「南十字星」が見事
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