日本の暗号小説
作者名 伴野 朗
作品名 五十万年の死角
発行日:S51.9.9
出版社:講談社
形式:四六判

第22回江戸川乱歩賞
目次
プロローグ
蒸発 8日午後1時4分〜8日午後11時50分
追跡 9日午後8時3分〜10日午後11時17分
疑惑 11日午後7時23分〜12日午後6時12分
混乱 12日午後11時29分〜13日午後6時27分
回帰 13日午後7時4分〜14日午後2時17分
邂逅 14日午後11時41分〜15日午後1時12分
対決 15日午後2時10分〜16日午後7時46分
真相 16日午後7時46分〜16日午後8時11分
エピローグ
ストーリーの概要
日米開戦の当日、北京協和医科大学新生代研究会から消え、現在まだその行方が不明と言われている「北京原人」の骨をめぐり、日本軍属・通訳の主人公・戸田、特務機関・松村機関、国民党藍衣社、中国共産党などが互いに凌ぎを削りあう。
大正12年、北京西南郊の周口店で、42体の北京原人が発掘された。人類のかけがえのない遺産であり、中国民族の誇りであり、世界の至宝であると考える、北支那派遣軍司令部那須野軍医部長から、その行方を追うよう指令を受ける。
暗号について
* 中国語といっても、北京語、満州語、山東語、上海語、副建語等々、少数民族・各地の言葉を一生かかっても覚えきらない。
  二人の中国人が、一人は広東語、一人は潮州語しか分からない。共通語は片言の英語だ。正に知らない語は暗号だ。
* 海軍にはたわいない隠語が多くてね。「浜の屋」=「ビーチ」、「小松」=「パイン」、「魚勝」=「フィッシュ」、「芸者」=「エス」、「芸者遊び」=「エスプレー」
* 彼女は無意識に貴方が犯人であることを、ドイツ語で博士に告げたのだ。実質的な暗号になっている。
 「ディー・ゾンネ・イスト・トート」=「太陽が死んだ」=「丸井陽太郎が死んだ」
 「エア・ハット・ジー・ゲトョテット」=「彼が彼女を殺した」・・・?
 「丸井陽太郎」=「ディー・ゾンネ」=「太陽」、「佐々木月心」=「デア・モント」=「月」
 英語では「太陽は男性名詞、月は女性名詞」だが、ドイツ語では「太陽は女性名詞、月は男性名詞」で反対だ。
 即ち、「彼が彼女を殺した」=「月が太陽を殺した」=「佐々木月心が、丸井陽太郎を殺した」
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