日本の暗号小説
作者名 太田 忠司
作品名 レストア   オルゴール修復士・雪永鋼の事件簿
発行日:2006.3.25
出版社:光文社
形式:新書
目次
* 夏の名残りのバラ
* 秋の歌
* 冬の不思議の国
* 春の日の花と輝く
* わが母の教えたまいし歌
ストーリーの概要
 主人公雪永鋼はオルゴールの修復師、即ちレストア。。
 鋼は、心の痛みを抱えながら、愛犬・ステラとともにひっそりと壊れたオルゴールを修復する日々を送っていた。
 彼のもとには様々な物語を詰め込んだオルゴールが持ち込まれる。彼はオルゴールを修復すると同時にそこに秘められた物語の謎を解き、関わった人たちの心の傷も修復していく。

 持ち主の想いが込められたオルゴールとともに持ち込まれる奇妙な“謎”。そして鋼を苦しめる“過去”には一体なにが? 

 ある日、飯村睦月が持ち込んだオルゴールからは、彼女の父親が聴いていたのとはまったく違う曲が流れるというのだが…。鋼と睦月を待つ運命は―。アンティークオルゴールの音色のように、哀しくて優しい物語。

 5編のオルゴール修復の事件が続く。短編のようだが、ストーリーは睦月を中心に長編のように繋がっていく。この種の本によくある殺人事件は起こらない。壊れたオルゴールにまつわる謎解きが、次の物語を読む気持ちになって行く。
暗号について
● 冬の不思議の国
* 師匠・灘本が最後に修復したオルゴールが、僅か2年でおかしくなる。何故か?
 ・曲はバッハの「目覚めよ、と呼ぶ声あり」
 ・櫛歯が欠けている。低温部の櫛歯の根元に、引っ掻いたような小さな傷が数カ所・・・数字だ
  11111 27114
 ・櫛歯をはずしてみる・・・鉛の一部が落ちている・・・274と数字が刻まれている個所と一致
  その櫛歯をピンセットの先で弾いてみる・・・別の音に調整されている。
 ・ポリフォンの櫛歯の音の配列
   CGCCDEFGGABCCEEF・・・・低い方から順番・・・・しかし、8番目のGはB、9番のGはD、11番のBはG
 ・底版に紙が・・・鉛筆で「右に3、左に8、右の5」・・・・・灘本の遺品の手提げ金庫のキ―だ!
 ・金庫の中に「懐中時計が」・・・妹に渡してくれ
 ・GGCCDEFGGAB・・・・オルゴール本来の音の配置
  GGCCD FBDAG・・・・故意に変更した音の配列
  11111  27114・・・・櫛歯に刻まれた数字
 ・暗号表
 イロハの7×7のタテにABCDEFGを・・・Fの2は「ワ」、Bの7は「ヒ」
* 答・・・「トトハハニ ワイニイク」・・・「父母に 詫びに行く」
*何故こんな面倒なことを・・・灘本は、雪永が一人前になればこのオルゴールを直せる  
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