日本の暗号小説
作者名 三角 寛
作品名 山窩奇談
発行日:昭和41年12月15日
出版社:東都書房
形式:四六版(ソフト)
目次
序話 山窩に憑かれて狸穴がよい
第2話 蛇崩川の蛸入道
第3話 死刑囚よ待て
第4話 山窩の隠密(すずめ)
第5話 吠えない犬
第6話 墓地の幽鬼
第7話 板橋に山窩を瀬降らす
第8話 尼僧のお産
ストーリーの概要
ドキュメンタリーなノンフィクション:全く知らなかった世界、日本にこのような社会があったことに驚く。

「サンカとはなんですか」「今でもいるのですか」等々の質問に対する答えとして発刊。「山窩物語」の続編。昭和40年当時、既に知られていなかった社会、意図的に報じられていなかったのか?この人たちは何処に行ったのだろう?

筆者が朝日新聞の事件記者当時、説教強盗を追いかけていた時に山窩という一族を知る。人道を通らず、畑や山の中を一飛びに飛んでいく山窩に興味を持つ。当時の警視庁刑事・伊東清蔵氏、大塚大索氏、山梨県刑事・島田氏、静岡県巡査・松本氏等からも知識吸収、山窩の国八老人等からの直接聞き取り等から聞き取り。
住居を持たず、「瀬振」と言う仮住まいに住む部族。警察の手足となり、犯罪者の情報収集に当たったらしい。

目次の細部

序話 山窩に憑かれて狸穴がよい
 山窩話の出どころ、同囚の男
第2話 蛇崩川の蛸入道
 裁縫女塾の八人殺し、宵月のてる瀬振に、いよいよ山窩になって、梨盗人、訪い来るものは月ばかり、いい事とは何だろ?口惜しいでしょう、馬鹿入道、計略のはめ輪
第3話 死刑囚よ待て
 山刃踊り、哀れな恋心、町に来た瀬降の女、奇怪な嫌疑、証拠はすでに揃っている、留置場の名主、その夜のアリバイ、虎吉にやらせたのだ、もとから手癖が悪かった、指のない男、留置場に飛び込んだ男、あっけない判決、事件の大団円
第4話 山窩の隠密(すずめ)
 顎はずしの名刑事、手下直吉、峠の茶屋の事件、屋根裏の怪人、古手拭の魅力、においはかいだ、煙のにおい
第5話 吠えない犬
 鳶の直吉、俺の見込みに狂いはない、経歴の秘密、奇怪な飴家、つまらない話
第6話 墓地の幽鬼
 山窩と蛇捕り、蝮天皇と史実、生きていた古代人
第7話 板橋に山窩を瀬降らす
 おらアどやつきじゃない、霞のように消える元公、清水の湧く藪陰、生活苦のない瀬降、夢幻の世界の王者
第8話 尼僧のお産
 瀬振の異変、熊谷入道直実、恋人は女住持、美しい尼僧が来る、灰吹つくり、外面如菩薩、黒頭巾の妙蓮さん、有籍者になって下さい
暗号について
暗号という表現を用いてはいないが、山窩の使っていた言葉は「暗号」だ。太平洋戦争において米軍が日本に知られていない「ナホバ族」を通信要員として活用したように、知らない言葉は暗号である。

山窩用語の例:
山窩:てんぱもの、女房:きゃはん、親分:やぞう、普通人:とうしろ、犯人:ほし、塩鮭:くし、一升徳利:げんぞう、
刑事:きたかぜ、娘:つる、結婚:ちゃづき、冗談:ほけなす、着物:びら、子供:びく、山刃:うめがい、殺人:ねむり
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