日本の暗号小説
作者名 赤城 毅
作品名 書物迷宮
発行日:2008.10.6
出版社:講談社
形式:新書
目次
第1話 書庫に入りきらぬ本
 初出:小説現代 08'1増刊号メフィスト
第2話 長い長い眠り
 初出:小説現代 08’9増刊号メフィスト
第3話 愛された娘
 初出:書き下ろし
第4話 冷やしすぎた秘密
 初出:小説現代 08’5増刊号メフィスト
ストーリーの概要
* 内外の古書店や図書館、文書館などをまわり、資料を集め、古文書を閲覧する。そんなことを何十年も続けていると、不思議な記述や、なんとも説明のつかない事実に出くわすことがある。
 古びた紙のにおいや活版の手触りといっしょに、澱のように積もった、それらのことどもを撹拌し、少しばかり想像で味付けして、書物中毒のための迷宮を作ってみた。一緒にさまよっていただければ、何よりの幸せ。

* 合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて世には出せない危うい本を手に入れる、書物狩人。
 スペイン内戦に斃れたロルカの詩集、各国情報部が狙うポズナンの書物、国家機密を匂わす満鉄の時刻表。
 書物狩人だけが、稀覯本に隠された物語を読み解ける!
暗号について
第1話 書庫に入りきらぬ本・・・・詩人ロルカの死の直前の詩本
 * 「夢遊病者のロマンセ」の暗唱が合図・・・・屋敷のありかを教えろ
 * ・ロルカの詩集と偽って出版された「グラナダ悲歌」には、実はゲルニカ空襲の真実が隠されている。
   ・「ゲルニカ文書」を一見、詩と見える暗号文に組み立てて直し、表向きはロルカの未発表の詩集として上梓
   ・詩としてはでたらめ、文学的価値よりも、暗号の強度を重視して作成したもの
   ・ミゲル・ベナベンテという著者名で「風刺歌集」として発行されて本が、暗号を解く鍵
  
第2話 長い長い眠り・・・・北京原人に関する文書「満鉄の臨時特別時刻表」
 * 米の「MAGIC外交要約」・・・日本の外交暗号の解読情報
   ・機密解除になっても、都合の悪い部分は隠されている。

第3話 愛された娘・・・・フランツィスク侯爵家の末裔である事を証明する文書
 * 福音書の文字は「キリル文字」か「グラゴール文字」か?
  ・古い文章を消した上にあたら言い文字を書いた文書・・・必ずグラゴールが下でキリルが上
  ・凸版印刷のキケロ・プロジェクト・・・消されたテキストの復元
 
第4話 冷やしすぎた秘密・・・・ナチスの生物兵器に関する文書
 * 雑誌広告・・・暗号に見える「校合式」(本の構成)に使う数式
 * 校正を終え印刷直前に組版の活字を替えた。
   ・生物兵器生産と使用のマニュアルが、その通りやれば、ペスト菌ではなく無害の細菌ができるように。
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