日本の暗号小説
作者名 井坂 幸太郎
作品名 重力ピエロ
初出版:H15.4;新潮社

発行日:H18.7.1
出版社:新潮社
形式:文庫
目次
・ジョーダンバット ・性的人間 ・トースト ・トロッコ ・オングストローム ・グラフィティアート ・ピカソ ・放火事件のルールT ・23 ・父の病気とピカソ ・ミステリにおける退屈な手続きT ・探偵T ・父の価値とゴッホ ・ローランド・カーク ・地球の重力とピエロ ・地獄愛 ・橋T ・ビジネスホテルの陰謀 ・JLG ・燃えるごみ ・2万8千年前 ・エンジン、円陣、猿人 ・会社の仕事・・・・以下略
ストーリーの概要
 半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。
 春は、私の母親がレイプされたときに身ごもった子である。
 ある日、出生前診断などの遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町のあちこちに描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレーによるグラフィティーアートが残されていることに気づく。
 連続放火事件と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。

 奇想天外なキャラクターを、巧みなストーリーテリングで破綻なく引っ張っていく手法は、著者の得意とするところである。本書もまた、春という魅力的な人物を縦横に活躍させながら、既存のミステリーの枠にとらわれない、不思議な余韻を残す作品となっている。

   背後に重いテーマをはらみながらも、一貫して前向きで、明るい。
 そこには、空中ブランコを飛ぶピエロが、一瞬だけ重力を忘れることができるように、いかに困難なことであっても必ず飛び越えることができる、という著者の信念が感じられる。
 とくに、癌(がん)に冒されながらも、最後まで春を我が子として支援する父親の存在が、力強い。

暗号について
*全般にはDNA暗号、そしてミステリの鍵になる暗号はグラフィティアートに描かれた英語。その意味するところは?
・A,T,G,Cの四つの文字列の組み合わせ・・・2重螺旋・・・その暗号の意味は?・・・アミノ酸
・TTAGGGの繰り返し・・・寿命に影響
・グラフィティアートに描かれた英語・・・「God can talk Ants goto American 280 century」・・・暗号だよ、意味はある。
 ・頭文字を繋げると・・・GCTAGA2CA→280を英語に直すと・・・・GCTAGATCA
 ・放火の起きた現場の頭文字を並べるとCGATCTAGT・・・・2重螺旋だ!
 ・グラフィティアートの3文字づつをコドン表で調べると・・・アラニン、アルギニン、セリン
 ・放火現場のは・・・・アルギニン、セリン、セリン
 ・頭文字から・・・ARS・・・これには意味がない・・ARSonなら「放火」
 ・最後の放火現場の英語から・・・TGA・・・「終り」
・JLGの意味は
・春の狂人のノート・・・有名人の名前の羅列・・・その頭文字を綴っていくと???
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