日本の暗号小説
作者名 柳 広司
作品名 ジョーカー・ゲーム
初出:2008.8

発行日:H23.6.25
出版社:角川書店
形式:文庫

・第30回吉川英治文学新人賞
・第62回日本推理作家協会賞
 長編及び連作短編集部門」をダブル受賞
目次
*『ジョーカー・ゲーム』
*『幽霊−ゴースト−』
*『ロビンソン』
*『魔都』
*『XX−ダブル・クロス−』
ストーリーの概要
 結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関”。
 「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。
 だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく…。

『ジョーカー・ゲーム』:憲兵隊が暴けなかった親日派外国人のスパイ容疑を調査する。
『幽霊−ゴースト−』:横浜の英国総領事館公邸に出入りする機関卒業生による調査の顛末。
『ロビンソン』:ロンドンに潜入し、英国諜報機関に捕らえられた機関卒業生の脱出行。
『魔都』:上海に潜入し、当地の派遣憲兵隊大尉の真の姿を暴く。
『XX−ダブル・クロス−』:二重スパイの証拠固めの最中に起こった密室殺人の真相は。

・08年、「このミステリーがすごい!」国内編で第2位
・「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門で第3位
暗号について
*『ジョーカー・ゲーム』
 ・アメリカ人技師・ゴードンニスパイ容疑:陸軍の暗号表を密かに盗み撮った
 ・学生たちは複雑極まりない暗号を自然な言語のように使いこなすことを要求された。
 ・鏡面文字を一瞬で読み取り暗記する
 ・学生たちはすべて偽名:コードネーム
 ・敵に無意味な暗号を使わせた方が、我が方の暗号交信にとっては有利
 ・御真影、天皇陛下の写真の裏側に証拠のマイクロフィルムを貼っていた。

*『幽霊−ゴースト−』
 ・蝶の絵を描いたスケッチブック:蝶の羽の模様の中に敵陣地の詳細を書く。
 ・暗号メモは、英国総領事館で使用されている特殊な用紙

*『ロビンソン』
 ・著者デフォーは、天文学や錬金術の知識を用いて様々な暗号を考案した。
 ・モールスで情報を送る場合、個人の打ち癖を登録・・・一種の指紋・・暗号セキュリティ
 ・協力者の確認・・・意味の通らない会話
 ・D機関は暗号打電の場合、一定の打ち間違いを入れる取り決め・・・ミスなく打電された電文は「敵中の事故」
 ・外務省・・日本語は特殊であるから英米に分かるはずがない。
 ・新型暗号機導入の予算獲得が目的

*『XX−ダブル・クロス−』
 ・日本から発信される国際電信は、すべて内容を記録
 ・非合法の暗号通信を三点交差法により送信場所を特定
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