日本の暗号小説
作者名 江戸川 乱歩
作品名 算盤が恋を語る話     (「算盤が恋を語る話」所収)
初出:T14.4;写真報知
(「恋2題」の1編:他は「日記帳」)

発行日:1995.10
出版社:東京創元社
形式:文庫

(その他多数出版)
目次
「なし」 (短編)
ストーリーの概要

主人公のTは内気な上司であり、驚くべきほど内気で面と向かって女性と話すのが苦手な男の会計係だった。
S子の算盤に数字を打ち込み、S子に自分の気持ちを気付いて貰おうとしていた。
それは世にも内気な告白文。それは暗号恋文なのだ。
さて、その愉快な結果は果たしてどうなっただろうか…!?  タイトルの文字通り確かに算盤が恋を語ったこのストーリー。


T  : 主人公。内気な青年。算盤に暗号を混ぜてS子に告白する。
S子: Tの助手を務めている若い事務員。

暗号について
算盤に打ち込んだ数字は、社内で賃金袋を仕分けするときに使う符号。袋を一度アカサタナ・・順に並べ、そのおのおのを更にアイウエオ、カキクケコに仕分け。
例えば、「野崎」と言えば、五行目(ナ行)の五番(ノ)、即ち「55」が「ノ」となる。

・十二億四千五百三十二万二千二百二十二円七十二銭・・・・・「イトシキキミ」
・六十二万五千五百八十一円七十一銭・・・・・・・「ヒノヤマ」(遊園地の名前)
・二二八五一三二一一四九二五二・・・・・・「キョウカエリニ」
・八三二二七一三三・・・・・・「ユキマス」
 ところが、S子は来なかった。・・・・何故?

「探偵小説40年」に載せた乱歩の着想についての回想
「以前鈴木商店の鳥羽造船所に勤めていた頃の経験によったので、当時私は原価計算の仕事をしていて、非常に大きな金額の算盤を置いたことがあるので、それからふとあんな暗号を思いついたのだ。事件の背景もすべて鳥羽の町を思い出しながら書いた。可愛い事務員のいたのも事実だ。併し当時の私は、この小説のように臆病ではなく、それどころか、女事務員をからかうご常連の一人であった程、勇敢なる不良青年であった。」
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