日本の暗号小説
作者名 佐野 洋
作品名 推理日記 T
初出:1976;潮出版社

発行日:S59.9.15
出版社:講談社
形式:文庫
目次
1〜42の推理小説に関するエッセイ集
ストーリーの概要
「小説推理」が創刊された(1973.2)から掲載された「推理日記」と言う連載エッセイをまとめたもの。

1 植草甚一「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」について  2 アリバイ破りについて  3 草野唯雄「爆破予告」について  4 推理小説は悪意で読まれるか  5 石沢英太郎「カーラリー殺人事件」について  6 警察小説について  7 推理小説の基礎知識  8 ある提案  9 小峰元「アルキメデスは手を汚さない」をめぐって  10 再び「アルキメデスは手を汚さない」について  11 森村誠一の誤解について  12 推理小説のミスについて  13 高木彬光「邪馬台国の秘密」についてT  14 「邪馬台国の秘密」についてU  15 斉藤栄「日本のハムレットの秘密」はアンフェアか?  16 小松左京「日本沈没」と推理作家協会賞  17 アンフェアな表現  18 推理作家の市民権  19 推理作家とエンターテインメント  20 小林久三「暗黒告知」をめぐって  21 推理雑談  22 川上宗薫の書き下ろし小説について  23 ある自作について  24 西東登の動物推理シリーズ  25 清水一行「動脈列島」  26 西村寿行「君よ憤怒の河を渡れ」  27 追悼・梶山季之  28 草野唯雄「もう一人の乗客」  29 前号の反響について  30 作中人物に対するフェア・プレイについて  31 日下圭介の作風について  32 一つの証言  33 「視点」再説  34 作家にとっての失敗作T  35
 作家にとっての失敗作U  36 作家にとっての失敗作V  37 「密室」の可能性  38 「消えたタンカー」と「スカイジャック」  39 西村京太郎「消えた巨人軍」について  40 作中の各種名称について  41 再説「作中の各種名称について」 42 「密室」と「人間消失」
暗号について
15 斉藤栄「日本のハムレットの秘密」はアンフェアか?・・・森村誠一氏の疑問
* この作品にはいくつかの問題点が含まれている。その一つが、自殺した藤村の遺書「巌頭の感」の暗号
 ・ 「巌頭の感」を一首の暗号と考えた作中人物が、華厳経などを参考にし、「はすついわばほれごゆ」という文章に到達
 ・ ここで、キー・ワードを当てはめ、「五湯は捨つ、岩場掘れ」という言葉を得る。しかし、そのキー・ワードは。実は作者が作ったものだ。つまり、そのキー・ワードがなければ、本に書かれた結論にならない。だから、アンフェアではないか?
 ・ 作者が勝手に作った言葉で、暗号を解いたとしても、それは本当の意味で暗号を解いたことにならない。

しかし、森村氏は誤解しているのでは?(佐野氏のけんかい)
・ もし、「藤村の自殺についての一考察」という学術論文であればアンフェアだろう。データの捏造になるから。
・ 推理小説は、作者が作るものだ。作者が、「ここにこういうデータがある」と言ったら、それはその作品においては一つの事実なのである。
 
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