日本の暗号小説
作者名 西木 正明
作品名 エェルカムトウパールハーバー 上下


初出版:2008.12;同下記

発行日:H23.7.25
出版社:角川学芸出版
形式:文庫
目次
(上巻)
プロローグ 戦時閣議室
第1章 ノモンハン
第2章 密使
第3章 密の罠
第4章 エコノミスト
第5章 バークアベニュー東61丁目
第6章 ストーククラブ
第7章 日米諒解案
(下巻)
第8章 女衒
第9章 独ソ戦
第10章 暗転
第11章 矛盾
第12章 虚実
第13章 落日
第14章 神の罠
第15章 ウェルカム トゥ パールハーバー
終章 再生

* ノンフィクション・ノベルとなっているが、かなりフィクションがあるようなので戦史ではなく、小説に分類した。
ストーリーの概要
 1940年、日米の緊張が高まる中、民間主導による異例の日米和平交渉が始まろうとしていた。
 だが、その背後ではスターリン、ヒトラーをも手玉にとったイギリスMI6の敏腕謀報部員が暗躍していた。なぜ、この交渉にイギリスが深く関与しているのか。
 アメリカに渡った文書謀報のスペシャリスト、天城康介と江崎泰平は、独自の謀報活動を始めるが…。
 日本を破滅へと追い込んだ日米謀略戦

 順調に進んでいた日米和平交渉は、アメリカ側の突然の態度硬化で暗礁に乗り上げる。
 天城と江崎は日米交渉の裏で糸をひくイギリスの思惑を探るうち、ソ連の「スニェーク」なる作戦の存在を知る。
 英、米、中、ソの陰謀が絡み合い、確実に追い込まれていく日本。
 行き詰まる謀報戦の果てに天城と江崎は、壮大な謀略を突き止めるが…。
暗号について
* 哈爾濱特務機関の情報収集
 ・ソ連側の軍用無線通信の傍受等
* 日本側の主要国の暗号解読活動
 ・昭和8年頃から海軍と外務省が協力して、米英等の外交・軍事用通信の暗号解読を実施、ほぼ解読可能になった。
 ・英国の外交用暗号インター・デパートメンタル・コード、米国の外交暗号グレイコード、米海軍のストリップ・サイファーの完全解読
 ・米英は日本の解読能力を侮り何年もコードを変更せず
 ・蒋介石の暗号も当然解読
 ・例外はソ連。担当は陸軍。
* ソ連大使館
 ・平文の電報は、日本の逓信省電務局に依頼。それ以外は無線・・・日本側の解読能力を評価
  ・英米のように自分たちの暗号システムに全幅の信頼を寄せていない。
  ・比較的小規模な無電設備でも、条件が良ければ本国に到達(中継施設あり)
  ・無線は、有線のように電文全てが日本側の解読の危険に晒される危険がない。
*大使館の使っている外交暗号の安先生は全くない
 ・FBIの盗聴能力から推測しても、外交電の暗号解読には全力を挙げているはずだ。
 ・日本側が米英の外交暗号の解読が出来て、米英に出来ない理屈は通らない。
*米の暗号解読組織
 ・ワシントンのOP-20-G、フィリピンのチャヴィテ
  ・外交暗号機・九七式欧文印字機のフルコピー
*そのた、処々に暗号の使用、暗号解読について書かれている。
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