歴史暗号
[ヒ行 作品]
作品名 百首有情      百人一首の謎を解く
著者名 西川 芳治
発行日:1993.7.10
出版社:未来社
形式:四六判
目次
第1章 「百人一首」の謎
第2章 藤原定家の生涯と周辺
第3章 「百人秀歌」に秘められた暗号
第4章 「百人一首」に隠されたものは何か
第5章 「百人秀歌」と「百人一首」は一対
ストーリーの概要
織田正吉氏の「絢爛たる暗号」、林道直氏の「百人一首の秘密」に疑問を持ち、定家の真の意図の解明に迫る。
両氏は、「百人一首」の隠された配列構造を、一種のクロスワードとして捉えたが、著者は実際に障子に貼り得る配列と考え、織田氏の指摘した百首の語句や主題の関連性の奥に、言語遊戯的な具体的な暗号が存在する事実を突き止めた。
「百人秀歌」には、2首一対の配列構造の中に,歌の語句を用いた一種の文字鎖によって、定家の「最勝四天王院名所障子和歌」八首が隠されている。「百人秀歌」は完成された歌集で、「百人一首」の草稿本ではにあ。
一方、「百人一首」には、別の二首一対の配列構成の中に、歌の主題や語句によって表現される、四組のメッセージが隠されている。
暗号について
著者の解いた暗号

名所和歌とメッセージはいずれも、隠岐の後鳥羽院と佐渡の順徳院を思いやり、両院の帰京を願う定家の心情を表現したもので、「百人秀歌」と「百人一首」には、重要なキーワードとして、「隠岐」と「佐渡」を暗示する、四つの「おき」と「さと」の語が、物名の形で隠されている。
名所和歌の配列は、「百人秀歌」が後鳥羽・順徳両院の歌を含まない故に成立し、メッセージの配列は、「百人一首」がそれを含む故に成立する。
しかも、97種は同一歌である。
このことは、両書が同時に作られた、二冊一対の歌集であることを証明している。「百人秀歌」が百1首から成るのは、「百人一首」の異本ではないことを示唆。
「百人秀歌」と「百人一首」は、定家が二様の言語遊戯による謎をこめて、配流の地にある後鳥羽院と順徳院に宛てた、雌雄一対の撰歌集であって、単なる撰歌集ではない。

以下について、具体例を挙げて解説・・・和歌に秘められた暗号を解く基本
*当時の作歌技法と言語遊戯
 ・本歌取り
 ・「序詞」と「枕詞」
 ・「縁語」と「掛詞」
 ・「物名」
 ・「折句」
 ・「沓冠」
*定家の言語遊戯作品
 ・「一字百首」
 ・「一句百首」
 ・「伊呂波四十七首」
 ・「文字鎖歌廿首」
 ・「三十一字歌」
 ・「韻歌百廿八首」
 ・「名号七字十題和歌」
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