歴史暗号
[テ行 作品]
作品名 帝都東京・隠された地下網の秘密
著者名 秋庭 俊
発行日:2002.12.10
出版社:洋泉社
形式:四六版(317P)
目次
序 七つの謎
第1章 入れ換えられた線路
第2章 一等不採用
第3章 知られざる東京の地下
第4章 地下は新宿を向いていた
第5章 二〇〇ヤード
第6章 戦前、ここにも地下鉄が走っていた
第7章 帝都東京
第8章 東京の下にはもう一つの東京がある
ストーリーの概要
大手2社の東京の地図、地下鉄の線路を見ると国会議事堂前駅付近で、丸の内線と千代田線の線路が双方で異なっている。片方は線路が交差、一方は遠く離れている。
営団地下鉄8線路、そのうち7線が霞ヶ関、永田町に集まっているのは何故か?
営団、都営の11路線の壁と柱、戦前の銀座線、戦後の丸の内線、開通したばかりの南北線等どの線路も同じ壁が同じ間隔で現れる、同じように変色しているのは何故か?
国会議事堂は誰が設計したのか?検視句会を代表する4冊の事典には、ことごとく別の名前を挙げているのは?
千代田線・国会議事堂前駅の平面図を見ると、地下2階に議員会館への出入り口があるのは?
東京の地下は何時から建設が始まったのか?
等々、東京の地下網の秘密を丹念に調べ上げ解説。実に不思議だ!

目次の細部
序 七つの謎
 ・二つの地図に違いがある ・ヤブの中の地下鉄出入口 ・内務省・暗号地図 ・はみだした地図 ・インテリジェンス・リポート ・それは何を工事したのか ・大江戸線のミッション

第1章 入れ換えられた線路
 ・限界破りの駅 ・この駅は壁のためにあるのか ・入れ換えられた線路 ・偽りの原図 ・さらに「二つの地図」

第2章 一等不採用
 ・首都高のパニック・ポイント ・首相官邸のトンネル ・国会議事堂は誰が建てたのか ・設計士の意見は聞かない ・トンネルはトンネルに変わる ・海老原は何を見たのか

第3章 知られざる東京の地下
 ・地下鉄の起点は二つある ・そして御徒町は崩壊した ・大江戸線のどうしようもない矛盾 ・ルートは建設中に三度変わる ・三重構造の道路 ・三重構造はどこまで続いているのか ・地下鉄の駅の上には地下自動車道がある ・かって極秘地下鉄計画があった ・海軍省防空壕駅

第4章 地下は新宿を向いていた
 ・国会議事堂の設計者と施工者 ・新宿へ ・それは地下から始まった ・二段重ねの駅 ・地下は西へ

第5章 二〇〇ヤード
 ・二〇〇ヤード ・地下鉄の父の条件 ・コンクリート製の「その他」 ・廃棄願います ・その二段重ねは何をしているのか

第6章 戦前、ここにも地下鉄が走っていた
 ・赤坂見附―中野坂上/丸の内線 ・飯田橋―市ケ谷/有楽町線、南北線 ・東京―神田/山手線 ・トンネルの中の壁と柱

第7章 帝都東京
 ・十年経っても一本の道路も敷かなかった ・下水改良をなすべし ・後藤閣下 ・虎ノ門地下鉄 ・これまで道路がどこにあったかは考えなくて良い ・サミット ・戦前の地下鉄網 ・帝都復興

第8章 東京の下にはもう一つの東京がある
 ・街路 ・靖国通りには意図がある ・道路のない街路 ・街路のどこが悪い ・浮かび上がる街路 ・この問題の根源は私にある ・もう一つのマイル ・国会議事堂の地下駐車場 ・国会議事堂下 ・新旧街路対蹠図 ・帝都のクロス
暗号について
序の「内務省・暗号地図」
 「大東京区分図」は1941年(昭和16年)、内務省が製作した。中央に国会議事堂、その前に警視庁、しかし、それ以外の庁舎等はほとんど描かれていない。数種類の点線が右へ左へと交錯し、番地を示す数字がやけに多い。東西南北も少し回っているようだ。
このように地図を改竄することを改描と呼ぶ。初期のころは「省略改描」だったものの、第1次世界大戦(第2次の誤り?)で首都爆撃が始まると、これでは爆撃目標を教えることになりかねないと、白かったところが一斉にりんご畑と桑畑になった。地図には本物とニセモノがあった。
その後、このような
暗号地図の時代を迎えている。解読のキーが分かっていれば地図は本物になり、分かっていないと何の役にも立たない。改描はもっぱら地下のために行われ、地図にどのように地下を書くか、敵の地下をどう読むかと言うことに叡智が結集されていたという。
日本では、改描についてはほとんど知られていなかった。この地
図の暗号は未だに解読されていない
以上が具体的な記述であるが、全編この不思議な暗号地図からの地下網の解読である。

実に不思議な物語、いや物語ではなく地下網の実態解明である。
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