暗号理論
[ア行 作品]

作品名 暗号化   プライバシーを救った反乱者たち
著者名 ステーブン・レビー  (STEVEN LEVY)  (訳:斉藤 隆央)
発行日:2002.2.22
出版社:紀伊国屋書店
形式:四六版
目次
・ ひとりぼっちの闘い
・ 規格
・ 公開鍵
・ センセーション
・ 暗号ビジネス
・ 特許と鍵
・ 暗号アナーキスト
・ クリッパー・チップ
・ 苦難を乗り越えて
・ エピローグ 公然の秘密
概要
今ではインターネット社会において皆が必須と認識しているRSA暗号等公開鍵暗号の実用化に至るまでの、「国家の安全のため暗号の使用を統制し、情報の確保を求めると米国家」と「グローバルに繋がるネットでの暗号使用の自由化を求める民間技術者」との戦いのノンフィクション。小説なので、海外小説、あるいは戦史に区分する考え方もあるが、内容が現代暗号が開発されてきた経緯あるいは理論、議論、努力等を学べるので暗号理論に入れた。

* まえがきから(抜粋)
 いまや地球所では、特にコンピュータのおかげで、どこの誰とでも話が出来る。ただし、プライバシーを犠牲にしたうえで。
 だが、対抗策はある。暗号技術だ。情報は、秘密の記号体系を使って撹乱させれば、目当ての相手以外には無意味なものになる。そればかりか、この暗号技術というマジックマジックによって、現実世界のさまざまなやりとり―署名や契約や領収書の発行からポーカーゲームまで―を、だれもが電子的に行えるようになる。
 アメリカ政府による暗号の禁制には、もっともな根拠があった。暗号技術の要は、それを知られないことにある。したがって、政府の暗号の仕組みを照らし出す光が少しでも漏れてしまうと、壊滅的な被害をもたらすおそれがある。
 だが、暗号の恩恵にあずかれるのが政府だけでなかったらどうだろう?プライバシーを守る権利は万人のものではないのか?コンピュータ通信の時代の到来は、誰もが高度なツールを使って弁護士や恋人、同僚や顧客、医師や聖職者と密室でするような秘密の会話が出来ると言うことではないのか?

 本書は、このような疑問を抱き、われわれの生活を一変する革命をもたらした人々の物語である。だが、本書は、そうした疑問の火を消し止めようとした人々の物語でもある。前者は、コンピュータ・ハッカーや大学の研究者や政治活動家といった一般市民で、後者は、スパイや軍の高官や大統領と言った世界的な影響力のある人々だ。さてどちらが勝ったのだろうか?

* 本書に寄せられた賛辞から
・「30年間、民間の暗号は皆無に近かった。いまやわれわれは、それなしにATMで現金をおろすことも、ネットで買い物をすることも出来ない。この物語を明快に語るのは、暗号と関わる人々―全ての現代人―のためになり、面白く語るのは恵みになる。「暗号化」は、書かれるべくしてスティーブン・レビーが書いた本だ」
 ― ニール・スティーブンソン:「cryptonomicon」、「スノウ・クラッシュ」、「ダイイヤモンド・エイジ」の著者

・「この話に耳を傾け、非凡な反逆児やヒーローらしからぬ連中がいかにしてスパイたちを出し抜いて暗号を解放し、かくも素晴らしきドット・コムのサーバーに暗号を組み込んだかを知れ。暗号は、eコマースを可能にするだけではない。IT時代における最初の政治運動のテーマでもあるのだ。この本で未来を読め」
 ― ケヴィン・ケリー:「ニューエコノミー勝者の条件」、「複雑系を超えて」の著者

・「遂に出た!eコマースとネット上のプライバシーをもたらす大発見を綴ったヒューマン・ドラマが!スティーブン・レビーは、暗号技術の「超マシン誕生」(トレイシー・キダー著)を書いた」
 ― デーヴィッド・カーン:「暗号戦争」の著者

・「この情報化時代にもはや当然と見なされているテクノロジーについて語った、心をわしづかみにする啓蒙の書だ」
 ― ウォール・ストリート・ジャーナル、2001.1.12

・「本書は実に記述が正確だ。しかも読み物として素晴らしい」
 ― ワイアード、2001.1月号
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