暗号理論
[キ行 作品]
作品名 機密保持と化学     紀元前から現代まで
著者名 山崎 昶
発行日:2000.11.25
出版社:裳華房
形式:46判(ソフト)
目次
1 ハトシェプスト女王とセネムトの逸話
2 『アガメムノン』(アイスキュロス)-篝火と狼煙
3 「頭皮の入れ墨」-ペルシャ戦役時代の秘密通信
4 「烏羽の表」
5 「草子(草紙)洗小町」
6 『平妖伝』と点金の術
7 『カザノーヴァ回想録』
8 『黄金虫』(エドガー・アラン・ポオ)
9 大岡政談『天一坊実記』
10 『地中海』(小栗虫太郎)
11 蛍光性のインキ
12 最近のいささかナマグサイ話
  -科学(化学)研究における機密漏洩や不正行為

要旨

 以前に東京大学教養学部の文科生対象に行った「物質化学」の講義で利用したプリントの中からいくつかを選び、それをもとに拡大増補したものです。
 ふさわしい文学作品や歴史文書などを導入部にすえて、以後の話を展開するようにしてあります。
 「機密保持」と「化学」は一見あまり関係したところがないようにも思えるのですが、「化学情報」そのものの「機密を守る」ことと、「機械情報」を保護する化学的な手法の両方を、多少とも欲張って含めたつもりです。

* 暗号そのものあるいは秘密インク等、昔から他人に知られないような工夫をしてきた。それを科学的に分析している。
1 ハトシェプスト女王とセネムトの逸話
 *壮麗な神殿を建てるよう命ぜられたセネストが自分の名を後世に残したいと考え工夫した事例
  ・神殿の中のある壁面をニ重構造にして、奥の方の見えない壁に名前を書いた。
  ・表の壁が何時壊れるか?壊れる工夫は?
2 『アガメムノン』(アイスキュロス)-篝火と狼煙
 *篝火で、どの程度の信号を送れたのか? 
  ・百キロもある区間では、細かい識別は無理?
3 「頭皮の入れ墨」-ペルシャ戦役時代の秘密通信
 *ギリシャとペルシャの戦いのとき、奴隷の頭皮に情報を刺青し、髪の毛が延びてから総司令官のもとに送った。
4 「烏羽の表」
 *高句麗の時代、烏の羽に、外交文書を書いて送った
5 「草子(草紙)洗小町」
 *万葉集の歌は、暗号のようで読めなかった。墨で書いた文字は水で濡れても残る。
6 『平妖伝』と点金の術
 *秘伝の継承・・・比喩的表現
7 『カザノーヴァ回想録』
 *ヴィジュネル暗号・・・カザノーヴァとデュルフェ夫人の暗号問題
8 『黄金虫』(エドガー・アラン・ポオ)
 *羊皮紙に暗号を書いたものが何十年も残るか?水洗いしても残ったのか?
9 大岡政談『天一坊実記』
 *暗号ではない・・・犯行時の血液は人間のものか否か?
10 『地中海』(小栗虫太郎)
 *秘密インクの正体は何か?
11 蛍光性のインキ
 *ドイツ、ロシア、日本等の秘密インク開発競争
12 最近のいささかナマグサイ話
 *論文審査・・・機密保持と審査員の故意の流用問題

「コラム」
*伯牙と鐘子期 *曹操と謎解き *折句や沓冠、物名歌 *ほかの「消えるインク」 *山鹿流の秘密書法

inserted by FC2 system