日本の暗号小説
作者名 斉藤 栄
                       さ〜な   
作品名 箱根高原殺人事件
発出版:1981.6:徳間書店

発行日:1995.3.15
出版社:講談社
形式:講談社文庫
目次
1 婚約者の死
2 不審な日記
3 暗号の意味
4 自殺した女
5 記者の証言
6 危険な密会
7 犯人と宝石
8 殺意の真相 
ストーリーの概要
観光会社に勤務する大伴は、婚約者の津田亜紀子と箱根へ旅行に行き塚田ペンションに泊まる。が、何者かに呼び出され、殺される。残された彼の日記から、派手な女性関係を知り亜紀子はショックを受ける。東西新聞社の青き記者と知り合い協力して、日記に書かれていた女性たちの行方を探り、事件の謎を追う。大伴を恨んでいたのは誰か。
暗号について
大伴は、日記を残していたが、数字の羅列で何が書いてあるのか分からない。暗号だろうと亜紀子は判断し、自分の行動と日記の数字を照らし合わせながら解いていく。換字式暗号だが、一捻りある。
作品名 花嫁川柳殺人事件
発行日:昭和60年8月15日
出版社:光文社
形式:カッパ・ノベルス(新書)
目次
第1章 犯行(?)予告       第2章 人殺しの音
第3章 離れの雪         第4章 栗の木の下で
第5章 越権捜査         第6章 流浪人の行方
第7章 意外な事実        
第8章 悪魔の雰囲気(デモーニッシュ・ムード)
第9章 有罪の人
ストーリーの概要
日美子のもとに、新潟の同級生・栗越瑠衣が訪れ、「従妹の波夫がが自殺しそうなので、占いで助けて欲しい」と頼んだ。波夫は推理マニアで横溝正史の「本陣殺人事件」を真似て、結婚式の日に他殺に見せかけ、自殺すると言う。雪に閉じ込められた離れ家で、怪しい琴の音と共に起きる一大惨劇。
暗号について
波夫の花嫁が日美子に遺した六つの川柳。川柳にしては句読点が可笑しな位置に。徒然草の和歌の暗号をヒントに解読。
また、目次にも暗号が。(分かりますか?)
作品名 日美子の魔法教団      (旧:タロット日美子の魔法教団)
初出版:1988.6:徳間書店

発行日:1991.4.15
出版社:徳間書店
形式:徳間文庫
目次
1 魔女志願       2 魔女の家
3 魔女のトランプ    4 魔女ホテル
5 魔女の食事      6 魔女達の話
7 入信の儀式      8 七日の
9 第2の犠牲者     10 警察と教団
11 吹雪の日       12 悪夢の真相
ストーリーの概要
タロット研究会の会員で女子大生・麻裕美派、魔女になると書置きし家出した。後見人・秋山涼子の依頼で、日美子はタロット占いで変名した岩手魔法教団に紹介するが居ないと言う。岩手に行きその教団に魔女志願として入り込んだ日美子は麻裕美を探すが、教団関係者が次々と殺される事件に巻き込まれる。
暗号について
現場に転がっていたりんごにカタカナと見られる傷がつけられていた。犯人の名か?
作品名 ファウスト殺人事件    
初出版:1992.5:講談社文庫

発行日:1998.12.3
出版社:中央公論社
形式:中公文庫
目次
序章 天井の序曲
第1章 夕べ           第2章 書斎
第3章 魔女の厨        第4章 街路
第5章 庭園           第6章 森林と洞窟
第7章 寺院           第8章 ワルプルギスの夜
第9章 曇れる日         終章  牢獄

ストーリーの概要
日美子の友人、京子が殺される。死体の傍らにゲーテの戯曲「ファウスト」の1節が京子の自筆で残されていた。ダイイング・メッセージか?夫の二階堂が怪しい行動をしていると同じ警察官・緑川から告げ口され、日美子は悩む。世界中の魔女がドイツのブロッケン山に集い、悪魔と妖しい宴を繰り広げるという"ワルプルギスの夜”、二階堂夫婦は緑川に誘われ出席する。そこで起こったことは。
暗号について
ファウストの詩に隠された暗号。詩は韻をふむ。原書はどう書かれているのか。京子はアマチュア無線に興味があったという。これがキーか。
作品名 福岡県の秘密   金色の殺人
初出誌:1992秋季号:小説フェミナ

発行日:1992.9.10
出版社:学習研究社
形式:FEMINA NOVELS
目次
第1章 女流新人賞
第2章 神秘の街
第3章 九タロ研
第4章 マンションの密室
第5章 大宰府の探偵
第6章 過去の謎
第7章 登場人物の謎
ストーリーの概要
日美子は、戸口時代の同級生の友人が新人賞を取ったお祝いに福岡に招待される。同時期に九州タロット研究会からも招待を受け、福岡に向う。しかし、邪馬台国ゆかりの古墳で金粉を撒き散らした殺人事件に遭遇する。引き続き、第2、第3の殺人事件がおき、現場近くにいた日美子は友人とタロット研の仲間と謎解きにかかる。柳川、大宰府を舞台に、北原白秋の誌を織り込んでのミステリー。
暗号について
友人のペンネームはアナグラム。そしてその小説に出てくる主人公の男性の名前はどうか。そこに意外な名前が。
作品名 平成元年の殺人
初出版:1991.6:徳間文庫
(斉藤栄長篇選集第15巻:書き下ろし)

発行日:1997.4.20
出版社:集英社
形式:集英社文庫
目次
1 弟子志願          2 ワープロ
3 軽井沢の別荘       4 速達
5 現実的悲願         6 ゲーテのように
7 ライバル            8 ハワイの殺人
9 葬儀             10 最後の手紙
11 初めての手紙
ストーリーの概要
浜倉和樹と言う弟子入りを志願する青年から、推理作家・中里英光の所に手紙が届く。弟子は取らない主義の中里は浜倉の熱意と文面に、手紙のやり取りのみと言う条件で弟子入りを認める。浜倉の推理小説に対する疑問に答える形で中里は持論を展開する。作家としてのライバルとして世間に言われている杉内がハワイで殺される。全編20通の書簡のやり取りを、30日で実施する。
作中の「杉内格」と「幸田鶴唳」は、斉藤栄の若い頃のペンネーム。
暗号について
暗号解読はないが、作中に推理小説における暗号について持論が展開されている。特にワープロによる暗号について。
作品名 方丈記殺人事件
発行日:1986.6.20
出版社:光文社
形式:光文社文庫
目次
プロローグ
方丈記(1)          空中密室
方丈記(2)          夜の密計
方丈記(3)          黒い密雲
方丈記(4)          密会者たち
方丈記(5)          秘密の糸
方丈記(6)
エピローグ
ストーリーの概要
鴨長明の「方丈記」に秘められていた暗号解読を研究していた宇賀神教授が、「歴史問題」の編集者一色に手紙を残して失跡した。その前後、大阪郊外の常楽寺の三重塔の2層で女性の死体が発見された。サラ金業者の女経営者菊川容子だった。菊川の夫が積極的に犯人探しに動く。鴨長明と将軍実朝との関係は何か。その研究と教授の失跡の関係は?
暗号について
方丈記には、長明が実人に当てた暗号文が隠されていると言う。兼好と頓阿の問答歌がヒントか。
作品名 枕草子殺人事件
発行日:S61.6.20
出版社:光文社
形式:光文社文庫
    (書き下ろし)
目次
1 歴史ツァー      8 放火トリック
2 田名鳥悦子     9 二番目の女
3 鎌倉の殺人     10 大トリック
4 女性の暗号     11 雪の犠牲者
5 宮沢添乗員     12 謎は解けた
6 ホテル占術    終章 動かぬ証拠
7 密室的殺人
ストーリーの概要
鎌倉の豪華マンションが火災となり、焼け残った部屋には新人女流作家の他殺体と枕草子の一節で犯人を暗示した「使者の伝言」が遭った。捜査にあたった二階堂警部は、妻の日美子と「枕草子ツァー」で京都旅行中の田名鳥悦子が事件の鍵を握っていることを突き止めた。そして第2、第3の殺人が。同級生が狙われる理由は?
暗号について
犯人はこの人です。ヒントはこれです。と、枕草子の一説が書かれたメモが。第3の犠牲者の残したメモに暗号解読の鍵が。
作品名 万葉集殺人事件
初出版:1989.4:毎日新聞社
         (ミューノベルズ)
発行日:1992.1.20
出版社:光文社
形式:光文社文庫
目次
1 山上憶良
2 神戸の街
3 霧の軽井沢
4 襲撃
5 飛鳥
6 毒酒
7 大いなる秘密
ストーリーの概要
日美子は友人の菱田実那子から相談を受けた。彼女の父、大学教授の英太郎が、神戸で殺人を犯したと、脅迫されたのだ。日美子はタロットで審議を占うが、結果は「真」!苦悩する実那子のために日美子は神戸へ。英太郎が傾倒する山上憶良の歌に秘められた謎とは?一方、軽井沢の菱田家の別荘で変死体が。
暗号について
菱田が、遺産の継承者を指定した遺言書に、憶良の歌が。アナグラム。
作品名 ミステリーを書いてみませんか (旧名:斎藤栄のミステリー作法)
発出版:S62.1:文芸春秋
         (旧名)
発行日:1991.3.10
出版社:文芸春秋
形式:文春文庫
目次
1 最近の推理小説の変遷
2 ストリック理論の周辺
3 推理作家に向いている人とは
4 どんなふうに発想するか
5 取材法            6 大切なメモづくり
7 トリック論          8 具体的な執筆作業の前に
9 文章、筆記用具など
ストーリーの概要
ミステリー作家への登竜門を目指す人たちだけでなく、ミステリーファンに贈る「ミステリーの書き方と楽しみ方」−−目次の通り
暗号について
・ミステリーは、言葉の遊び。暗号がその柱。・・その先駆者は小栗虫太郎。
・「殺人の棋譜」にも暗号が。出来るだけ、少しでも良いから暗号を小説の中に入れたい。
・小説それ自体が一つの暗号だ。
・江戸川乱歩のトリック分類表の中に暗号記法の種類として分類している。・・・・等々
作品名 邪馬台国殺人旅情
発出版:S63.12:祥伝社
          ノン・ノベル
発行日:H5.3.1
出版社:祥伝社
形式:ノン・ポシェット
目次
1 婚約の宴
2 目に見えぬ兆戦
3 警視正の推理
4 疑惑の事件
5 異常な事件
6 帰京後
7 ハニワの謎
8 殺意の環
ストーリーの概要
古代史最大の謎「邪馬台国はどこだったのか」に迫る候補地歴訪ツァー、香奈は楽しい旅を期待していた。小早川警視正との婚約記念に二人で参加する。しかし、最初の目的地福岡で参加者が謎の死を遂げ、ツァーは不気味な様相を呈した。殺人の匂いを嗅いだ小早川は捜査を始めるが、手掛かりは「魏志倭人伝」のコピーだけだった。
暗号について
ツァーの余興として、邪馬台国の場所当てクイズに暗号文を出す。犯人の謎解きとは無関係。
作品名 大和路殺人事件
初出版:1994.12:祥伝社(文庫)

発行日:1999.10.25
出版社:集英社
形式:集英社文庫
目次
1 血の叫び
2 香久山の歌
3 飛鳥
4 遺言書
5 恐るべき死
6 ジョージ・ナンブ
7 黒い馬
終章 神と人間
ストーリーの概要
暗号めいた和歌を遺して大富豪の女性は他界した。その富豪の資産問題に関係していた二人の男性が惨殺された。遺族はいないはずなのに、相続人を名乗る二人が現れ争いに。遺産の行方は、遺された和歌にあると判断した私立探偵・神里は、子供と大和路に向かう。
暗号について
遺された和歌に隠された意味は。「あを」とは何か?
作品名 横浜山下公園殺人事件(旧名:白い魔術師の部屋)
発出版:1986.5:
      (旧名)

発行日:1999.7.10
出版社:文芸春秋
形式:文春文庫

(萬葉辞典の謎所収)
目次
1 看護婦と患者
2 萬葉辞典の秘密
3 暗号の里
4 脅迫者
5 同じ部屋
6 和子の襲撃
7 怒りの滝
8 決死のアナグラム
ストーリーの概要
国文学専攻の助教授佐久間が大学の寮の密室状態の浴室で絞殺された。彼は、恋人の看護婦早苗に「自分に万一のことがあったら、〈萬葉辞典〉を見ろ」と言い残していた。彼女は入院中の大学教授徳井と共に萬葉辞典に秘められた謎を追及する。佐久間の遺品を捜すうちに怪しい男と女が殺される。徳井の知人水木が、疑われる。
暗号について
・萬葉辞典に挿まれていたメモに短歌が。辞典との関係は。また、萬葉時代の言葉には、現代とは異なる意味があるのでは。
・宿泊帖に書かれていた水木のローマ字のサインを見た早苗は、水木が誰か分かった。
作品名 横浜ランドマークタワーの殺人
初出:「臨時増刊小説現代」
    1993.11,1994.4
初出版:1944.5:講談社ノベルス

発行日:1996.6.15
出版社:講談社
形式:講談社文庫
目次
誘拐偏
1 サンダーグループ      2 暗殺計画実行
3 脅迫電話        4 グッドバイ
5 文庫本          6 謎解き解決
殺人偏
1 特殊殺人        2 嫌疑
3 不振な男        4 DKK(第1観光興行)
5 逮捕劇          6 悲劇
ストーリーの概要
鉄道警察隊に勤務する江戸川警部は、暗殺される恐れのある新政党との党首と似ているので、身代わりにオープンカーに乗りパレードに出る。銃撃されるが、無事避けて一段落するが、暗殺グループに恋人の小夜香が、誘拐される、2度と代理をするなと脅迫される。小夜香は、無事の電話で「グッドバイ」と言うなぞの暗号を残す。彼女は誘拐された際バックを残していたその中に太宰治の同名の文庫が。奇妙なことに突然彼女は解放される。そして、殺人事件が起きる。
暗号について
彼女の残した「グッドバイ」の意味は。
作品名 日美子の魔家族
発行日:2002.9.25
出版社:光文社
形式:KAPPA NOVELS(新書)
    (書き下ろし)
目次
第1章 回想の中で       第2章 憶良の死体消失
第3章 万葉の食べもの    第4章 襲われた美人妻
第5章 歌の意味         第6章 タッロト占い
第7章 美鈴の死         第8章 左千子の行方
第9章 先生の驚愕死      第10章 愉悦の世界
第11章 左千子はどこに?   第12章 真相の真相
ストーリーの概要
日美子を中心とした仲良し三人組の一人、田川有理江の姉・左千子が失踪した。左千子は高校教師・安城寺郁夫と交際していた。郁夫の別荘で郁夫の死体を発見したが、その死体が消失する怪事件が。別荘に貼られた憶良の歌の意味は。
暗号について
郁夫と左千子の連絡に暗号を使ったのではないかと思う日美子。例えば万葉集の国歌大観のナンバーの利用、本のページを指定し、針で文字に穴をあける等。実際は使用されていないので、具体的な事例は無い。
作品名 宝石泥棒
初出版:1976.6:光文社

発行日:1998.2.18
出版社:中央公論社
形式:中公文庫
目次
プロローグ
第1章 恋人と銀行       第2章 作戦と錠前
第3章 密偵と暗号       第4章 襲撃と梅雨
第5章 殺人と脅迫       第6章 6月と逃亡
第7章 発作と息子       第8章 虚偽と山岳
第9章 湖水と事件       第10章 死者と病気
第11章 警察と病気      第12章 犯人と偽証
エピローグ
ストーリーの概要
赤坂迎賓館で欧州小国の大公妃が世界有数のダイヤモンドを盗まれた。必死の捜査にもかかわらず、事件は迷宮入りに。事件に対する関心が薄れた頃に新たな宝石盗難事件が発生する。一見、無関係に思える二つの事件の間には複雑に絡み合う見えない糸が存在した…。宝石の秘める妖しい魅力に取り憑かれた人々の愛憎劇。
暗号について
第3章:密偵と暗号に、犯人の一味に密かに加わったものと銀行員の間の連絡に暗号を使おうとするが、誤解防止のために中止し、マジック用のマッチ箱を利用して二重底の中に通信文を入れる。暗号としては?
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