暗号戦史
「ア行 作品」
作品名 暗号戦争
著者名 デーヴィッド・カーン (David Kahn)   (訳:秦郁彦・関野 英雄)
発行日:昭和43年11月15日
出版社:早川書房
形式:四十六判(ソフト)
目次
第1章 マジックの日々
第2章 太平洋戦争の暗号
第3章 暗号の歴史
第4章 第1次大戦から第2次大戦へ
第5章 第2次大戦
第6章 ロシアの暗号
第7章 NSA
概要
 原著は1164頁もあり、古代エジプト、メソポタミア時代から現代に至る暗号及び暗号解読の理論と変遷をたどった暗号百科全書とも言うべき高度の専門学術書であり、日本版は、一般読者に興味深いと思われる第1章及び第2章を全訳、残りは今世紀以降に重点を置いた部分訳だそうです。
 この本が発行された1968年頃においては、初めて紹介される事項が多く、暗号がいかに決定的な役割を演じたか、当時の読者には鮮烈な印象を与えたと思われる。もっとも、今でも十分その役割は果たしていると思う。本当に事実を良く調べ、詳しく述べており、暗号に関する貴重な本である。暗号戦史に区分して紹介したが、暗号理論書でもある。
 第1章では、米上院のパールハーバー査問委員会議事録を骨幹として、日本の外交暗号がいかにして破られ、何故奇襲を防止できなかったかを明らかにするとともに、フリードマンを筆頭とする米解読チームの骨身を削るような辛苦と献身ぶりを述べている。
 第2章では、米の解読チームが外交暗号に引き続き日本海軍の戦略暗号を解読することに成功し、その成果を珊瑚海開戦以降に利用して戦争期間短縮に寄与した。
 日本海軍の暗号については全期間を通じて海素読していたが、日本陸軍の戦略暗号は、最後まで破ることは出来なかった。これは、陸軍の努力と米側の熱意不足だと述べている。
 第7章にNSAについて述べているが、米国防省の要望から、著述に制約があり、削除された文がかなりあるようだ。しかし、NSAについての全貌が始めて述べられ、一般読者にインパクトを与えたことは事実である。    (訳者あとがき参考)
   

各章の細部
・日本版への序文 ・まえがき ・術語解説
第1章
1 プレリュード 2 紫暗号への挑戦 3 マジック情報の危機 4 東の風、雨 5 ポインセチアの花言葉 6 パールハーバー
第2章
1 破られた日本海軍暗号 2 暗号の勝利・・・ミッドウェー海戦 3 膨張する米暗号陣 4 日本の暗号活動 5 ケネディ対山元五十六 6 暗号の勝利
第3章
1 最初の3000年 2 西方世界の勃興 3 種の起源 4 ブラック・チェンバーの時代 5 好事家たちの貢献 6 南北戦争 7 教授と軍人と悪魔島の男
第4章
1 40号室 2 傍受の戦い 3 二人のアメリカ人 4 機械暗号の歴史
第5章
1 空間の戦い・・・枢軸側 2 空間の戦い・・・中立国と連合国 3 検閲と盗聴スパイ
第6章
1 ロシア革命まで 2 革命以降 3 第2次大戦および戦後
第7章
1 NSAの発足 2 国を売ったスパイたち 3 NSAの組織 4 秘密電話とホットライン 5 電子偵察 6 電子計算機の利用 7 暗号の将来
・註 ・付:解読の理論 ・訳者あとがき
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