暗号戦史
「ア行 作品」
作品名 暗号名はマジック  (太平洋戦争が起こった本当の理由)
著者名 小松 啓一郎
発行日:2002.1.5
出版社:KK
形式:ベストセラーズ
目次
序章  何が日米和平交渉を決裂させたか
第1章 「たかが誤訳」が日米交渉に与えた大きな影響
    ―過小評価された“ブラックボックス”の中身
第2章 日米開戦は「歴史的必然」ではなかった
    ―日米を取り巻く構造的状況を再考する
第3章 真実を歪めるパーセプション・ギャップ
    ―誤訳が生まれ、受容された背景
第4章 誤訳が歴史を変えた
    ―避けることができた日米開戦
終章  パーセプション・ギャップは埋まっていない
ストーリーの概要
日本の外交暗号「マジック」は、ここまで歪めて訳されていた!
日米開戦の決定打「たかが誤訳」を生んだパーセプション・ギャップ(認識の差)の正体とは?

太平洋戦争開戦前の日本の外交暗号がアメリカが解読、「マジック」と称し、米政府の対日政策の貴重な情報源になっていたことは周知のことである。しかし、これまで発刊された、あるいは研究を発表された文献においては、アメリカが解読した日本の外交文書等は、日本の外交文書と同文(多少は異なっていたであろうが、概ね同じ)に訳されていたことが前提かと思う。
日米が同じ土俵で勝負していはずが、解読文書の誤訳により双方が違う土俵で勝負していたことになる。

ここまで、アメリカの解読者たちが、誤訳をしていたのかと思うと愕然とする。
解読にあたり、判らない語・文を、日本語の難しさ、日本人に対する蔑視、先入観等からまったく違った言葉に訳したり、付け加えたり、削除したり等々・・・
その解読文書を見た大統領以下はそれを正しい外交文書と思い、正式に届いた日本の外交文書を、改めて読まずに外交処置をするのだから、、誤った判断に進むのは推測できる。

この本は著者がオックスフォード大で話題を集めた学位論文の普及版。 この論文により学会が衝撃を受けたそうだ。
国際間交渉にはつきもののパーセプションギャップ(無意識レベルでの認識のズレ)がどのような大きな悲劇に繋がるかという事を、太平洋戦争直前の日米間の交渉の失敗、開戦に至った史実の分析を通して検証している。

目次の細部


序章  何が日米和平交渉を決裂させたか

第1章 「たかが誤訳」が日米交渉に与えた大きな影響――過小評価された“ブラックボックス”の中身
* 異文化間のパーセクション・ギャップ

* 日米開戦とパーセクション・ギャップ

第2章 日米開戦は「歴史的必然」ではなかった――日米を取り巻く構造的状況を再考する
* 日米開戦にかかわる三つの言説
* 「歴史的必然論」への疑義
* 「陰謀説」には弱点がある
* 心情的反発に対する私見

第3章 真実を歪めるパーセプション・ギャップ――誤訳が生まれ、受容された背景
* 日米間の"認識"の隔たり
* 文化・言語のパーセプション・ギャップ
* 日米の相互不信と敵対視を形成したもの

第4章 誤訳が歴史を変えた――避けることができた日米開戦
* 誤訳を生み出した数々の背景
* 交渉、決裂、そして開戦魔の導き手、その名は「マジック」

終章  パーセプション・ギャップは埋まっていない
暗号について
米国による日本の外交暗号解読、即ち「マジック」の実態を検証。まったく新しい観点から暗号解読の難しさ、影響の大きさを知ることができる。
日本の公式の外交電と比較しながら、解読されたマジック文書がいかに誤訳の固まりかを認識させられる。
暗号解読の誤りにより、回避できたはずの戦いが、開戦に向かった事実を検証。
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