暗号戦史
「ハ行 作品」
作品名 敗北の理由   日本軍エリートはなぜ迷走したのか
著者名 谷光 太郎
発行日:2010.8.26
出版社:ダイヤモンド社
形式:四六判(ソフト)

情報敗戦」の再編集、改題
(最近の情勢を取り入れて)
目次
第1章 情報軽視が組織を崩壊させる
    ―作戦偏重に陥った軍参謀たち
第2章 トップが知るべきこと
    ―情報への執念の格差
第3章 生きた情報をいかに集めるか
   ―都合の悪い情報を無視する弊害
第4章 変化する情報にいかに追いつくか
   ―暗号戦に見る日米の違い
第5章 情報のプロフェッショナルの育成
   ―情報参謀の価値を見失った日本軍
第6章 情報と戦略の架け橋
   ―日清・日露戦争と太平洋戦争の違い
第7章 官僚化した組織における情報軽視
   ―技術、戦略、組織衰退の仕組み
 
ストーリーの概要
 軍においても、ビジネスでも、その不可欠事項は、@敵を知り、A己を知ること。
 太平洋戦争での陸軍指導部は肝心の敵である米英に無知であった。開戦から2年経過し、米軍と死闘を繰り返しているにもかかわらず、陸軍大学校でやっていたのは、対ソ連軍戦術の研究だった。対米研究が始まったのは、昭和18年暮れに昭和天皇の私益を受けてから!
 かっての国鉄しかり、最近の日本航空しかり。
 生存競争の厳しい環境に対処しなければならない機能型組織においては、幹部は例外なく、情報の収集と、その分析・評価に注力するが、共同体型組織では情報への関心が薄い。昭和の陸海軍は明治の軍や米軍と比べ、共同型組織化していた。
ビジネスのグローバル化に伴い、島国の小さな閉鎖社会で生きていくとことは出来なくなってきていいる。昭和陸がい軍の情報に関する失敗の原因を考える事は前車の轍の戒めとして有益であろう。
暗号について
第1章 報軽視が組織を崩壊させる
・ 日本はポーランドから暗号システムを学んだ。ドイツのエニグマ解読の手がかりもポーランド人
・ 開戦時の駐米日本大使館における電報処理の不始末
第2章 トップが知るべきこと
・ 太平洋戦争を通して情報参謀を務めたレートん:・ニミッツの情報参謀・レートン中佐、ハワイ・ハイポ支局のロシュホート
・ 相手に暴露されて機密漏洩を知った日本外務省・・・ヤードレーのブラック・チェンバー
・ 生かされなかった暗号解読の指摘・・・海軍では小沢中将以外暗号解読に懸念を示した者はいない。
                          海軍の情報関係者、通信関係者は「暗号漏洩」を無視
・ 陸軍や同盟国にも情報を知らせず・・・海軍の各司令官は防諜や暗号解読情報に常に気を使っていた。
・ 最高気密が新聞の第1面に掲載・・・・「シカゴ・トリビューン」紙にミッドウェー作戦の暗号情報記事・・・日本側は気づかず
第3章 生きた情報をいかに集めるか
・ 数値データで示されていたソ連の対日参戦・・・関東軍特種情報部の活躍
・ モスクワに向かうクーリエ(暗号班長・金子中佐)が、列車中で謀殺され、機密書類を奪われる
第4章 変化する情報にいかに追いつくか―暗号戦に見る日米の違い
 1 太平洋戦争での日本軍の電波情報戦術
  ・ 日本海軍の「特務班」
  ・ 情報・通信部門は「腐れ士官の捨て場所」
  ・ たった一枚の紙切れでも恐るべき威力を発揮する・・・暗号解読の重要性
  ・ 日米開戦とともに膨れ上がった特務班の人員
  ・ あえて軍隊の規律を強制せず・・・大和田通信隊
  ・ 暗号解読ではなく、電波の分析で敵の意図を解読
 2 暗号解読に生涯を奉げた男、フリードマン
  ・ 情報の重要性に対する明らかな認識の差
  ・ 遺伝学の研究から暗号解読へ
  ・ 暗号解読を生涯の仕事とする者だけの組織
  ・ どんなシステムでも絶対に難攻不落ではない
  ・ 秀才を活用できる組織風土へ
 3 英国の存亡を賭けたUボート情報戦
  ・ 英海軍と独軍Uボートの果てしなき攻防戦
  ・ エニグマの暗号解読に成功した英軍・・・GC&CS
  ・ 暗号解読の3本柱・・・@暗号手法の理論的解明 A暗号機の入手 B暗号書の入手
第5章 情報のプロフェッショナル育成
・ 日本語研修制度で敵の姿を知る・・・@日本語教育 A歴史・文化・特色
・ 暗号解読に執念を見せる米軍
・ 日本は情報漏えいに打つ手なし
・ 情報の専門化を積極的に育成・・・サフォード大尉、ロシュホート中尉
・ 暗号解読の技術者に大きな権限
・ 日本海軍の暗号解読にてこずる
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