暗号戦史
「カ行 作品」
作品名 海軍の反省
著者名 福留 繁
発行日:S26.4.1
出版社:日本出版協同
形式:四六判
目次
第1章 かくて開戦に至る
第2章 海軍の作戦計画と戦局の推移
第3章 敗因を探求す
ストーリーの概要

 敗戦後、元海軍中将が作戦の失敗等を回顧しての反省記。しかし、もともと、以下に注記したように乙事件の張本人なのに、良くこのような本を出したものだと思う。

(注)著者は、開戦時の軍令部第1部長、1943年5月の山本聯合艦隊司令長官の戦死(甲事件)に伴い、再び聯合艦隊参謀長になる。1944年3月31日、米海軍襲撃との誤情報のため、急遽、連合艦隊司令部をパラオからダバオへ移転することが決定された。福留らは飛行艇を発進させたものの、悪天候によってセブ島沖に不時着、乗員は米軍人の指揮するゲリラ隊に捕らえられ捕虜となった(海軍乙事件)。この際、福留は持参していた機密書類、暗号書を何一つ抵抗もせずに奪われるという大失態を犯してしまう。その後解放された福留は、徹底して容疑を否定したことと、生え抜きのエリートを重刑にかけることを忌避した海軍上層部の事なかれ体質のために機密書類紛失の失態は不問に付され、6月には第二航空艦隊司令長官に栄転している。

目次の細部
第1章 かくて開戦に至る
 ・我が国の軍国主義の成り立ち ・日米交渉と軍部の態度 ・開戦に対する軍部の誤断 ・海軍のとった最終態度
第2章 海軍の作戦計画と戦局の推移
 ・モリソン博士の「アメリカ海戦史」 ・海軍国防計画の全貌 ・実行作戦計画と勝算 ・海戦経過の分析
第3章 敗因を探求す
 ・日本海軍は科学的技術に遅れをとった ・裏切られた潜水艦戦 ・航空兵力の劣等 ・軍備と技術の批判 ・海軍暗号の不覚 ・政戦両略の混淆

暗号について
第3章 敗因を探求す
* 海軍暗号の不覚
 @ 暗号山本元帥を斃す
  ・ショートランド視察飛行の行動を暗号電報で発信・・・・暗号解読かスパイか
  ・暗号解読の恐れありと判断し調査・・・・いかなる兆候も認められぬという報告
  ・日本海軍の暗号は、技術上解読の恐れ皆無という暗号部長の所見
  →山本長官を殺したのは日本海軍の暗号

 A 米側の暗号解読への考察
  ・電信すなわち暗号なくして計画・実施不可能・・・暗号解読は我にとって致命的
  ・ワイントン条約時のヤードレーによる解読
  ・開戦時の外交電報の被解読・・・モリソン博士の「太平洋の旭日」
  ・米は真珠湾事件について6つの査問会議・軍事法廷
  ・日本海軍の暗号は容易に解読されるはずがない

 B 暗号不覚の禍根
  ・米軍暗号の解読に努力したが、成果は少なかった。
  ・米はマジックという機械を使用
  ・軍人だけで駄目、民間の専門家の活用が重要
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