作品名 |
これが特務戦だ |
著者名 |
古谷 多津夫 (元南城特務機関長) |
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発行日:S28.6.10
出版社:富士書房
形式:四六判 |
目次
第1章 第二次大戦の特務戦
第2章 日華事変の特務工作
第3章 姿なきG機関の特務戦
第4章 生か死か!火を吐く工作戦 |
ストーリーの概要 |
(まへがきから)
大東亜戦争の全戦線に、繰り広げられた特務戦の実際については、記録も殆ど焼かれたり、記憶も薄いので正確な思慮として残すことは中々むづかしいが、下世話に云う縁の下の力持ち的存在に黙々として挺身し、或は秘密戦の犠牲となった特務戦士の尊い精神を生かすことだと思い、筆を起こした。
終戦と同時に、全機能を停止して、数百の職員が一糸乱れず、大波の引くように転身して秘かに解体した南城機関は、世界的国際特務班の檜舞台裏に、秘密に生まれ、全く秘密に活動し、秘密に消えた特殊機関で、一部の関係者、上海海軍特別陸戦隊司令部、上海追う面根拠地隊司令部の少数の幕僚が知っていた位で、常時出入りした憲兵隊、領警職員、本部職員でさへ、その実態に関しては判らなかった。
従って一般にはその名称すら知られていなかったのに、反対に敵側には有名であったのは皮肉である。南城機関の工作方針は、投順工作も反転工作も談笑の間に解決することに重点が向けられ、最後の場合でも拳銃に火を吐かせずに事を運んだ事が私の誇りとするところである。 |
暗号について |
第1章 第二次大戦の特務戦
*暗号戦で破れたミッドウェー海戦
・特務戦の諜報学・・・特殊無線の傍受、有線電話の盗聴、暗号の解読、開封工作等、巧みに自由自在にこなす。
・暗号の解読では日本の海軍軍令部、陸軍の参謀本部は一流の技術を持っていた。が、米国海軍にやられた。
・米軍による「ミッドウェーは水不足」の平文送信を発信。日本海軍は、それを傍受し、暗号で送信。米海軍はそれを暗号解読し、日本海軍のミッドウェー攻略を米が確認した。
第3章 姿なきG機関の特務戦
*屑屋に変装し古寺に乗り込む
・重慶側と上海地区に活動する特務工作員が連絡している秘密無電臺があるとの情報。古寺が怪しいと判断し、屑屋に変装して偵察。畳2枚程の広さの鶏舎の床が木で出来ており、物干棒が屋根にあるので怪しい。
・翌日、陸戦隊で捜索。鶏舎の後ろが坊主の居室で、地下室を発見。
*床下に埋まる無電室を発見
・タイプに偽装した無電機、連絡時間表、録音装置、受信暗号、発信電報を発見
・その後、重慶側無電班を検挙、諜報組織の全貌が判明。
・逮捕した無電班を逆用し、偽電を発信。重慶本部からの情報を取得した。しかし、3ヶ月後にばれて終わり。
*小公園の秘密合言葉
・大公報を二つ折りにし、左足を組む姿勢。相手はバイロン詩集を抱え、長衣、黒い支那靴。
・《今日は風が強いですな》 《昨日よりは静かです》が合言葉
*煙草の箱にナゾの二文字
・市場でくちゃくちゃの煙草の空き箱を拾う。空き箱から赤い線の入った支那式の便箋が少し飛び出しているのを見つけた。
・毛筆で「崇明⇔上海 手=槍」と書いてあり、切手大の洋紙に地図が描かれていた。
崇明は島の名であり、上海との往復を意味。「手=槍」は中国語の拳銃意味・・・武器輸送の連絡文書だ。
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