暗号戦史
「ニ行 作品」
作品名 日露戦争と戦場の諜報戦  (「発信原稿 満州軍参謀部諜報部」の再発見)
著者名 長谷川 怜
発行日:2006.7.1
出版社:錦正社
編集:軍事史学会
形式:機関紙
目次
・はじめに
1 満州義軍および遼西特別任務班、その他間諜の行動
2 ロシアとの諜報戦
3 外国通信員・観戦武官
4 国際法・経済
5 電文中に登場する兵器
6 海軍に関する記録
7 袁世凱に関する部分
・おわりに 
ストーリーの概要
故・長谷川昇氏が所蔵していた「「発信原稿 満州軍参謀部諜報部」の紹介分析。
氏は、1965年頃、日露戦争研究のため史料を収集中、神田の古書店で購入した明治期文書の中に本「発信原稿」が含まれていた。
「発信原稿」は、日露戦争後、最高レヴェルの機密文書といて陸軍が保管していたが、太平洋戦争の敗戦時に大半の機密文書が焼却処分された際、何らかの理由で焼却を免れて流出し、その後民間で秘匿されていたものと推察される。
本史料の重要性を見抜かれた長谷川氏は「朝日新聞」に「日露戦争の諜報活動」を寄稿したが、さしたる反響はなかった。
2004〜2005の日露戦争100周年に学会が刊行した「日露戦争」を読まれた長谷川氏のご遺族からの情報で「発信原稿」の存在がわかり、未公開の第1級史料であることが判明。
筆者である長谷川怜氏は、昇氏の令孫で、軍事史学会会員である。

「発信原稿」の概要
 満州軍参謀部の諜報部が、明治37年6月23日から翌38年の6月30日にかけて、大陸各地に張り巡らせた「大諜報網」から寄せられる情報を分類・整理し各地へ送信した電文元原稿を綴ったもの。
 本文の殆どは「大本営」「満州軍総司令部」の名前が入った原稿用紙に書かれている。福島少将直筆の手紙などもあり、総頁は900頁にも及ぶ。
暗号について
「発信原稿」では、軍機に関わることや国際法に抵触する恐れのある事柄は暗号に組み替えられている。
仮名を組み替えた暗号と、数字による暗号の二種類が併用されており、読解の段階で対照表を作成したが、本研究寄稿では割愛した。
残念ながら、具体的な暗号の実態は不明。本史料が一般公開されれば、是非見てみたいものだ。
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