暗号戦史
「ニ行 作品」
作品名 新高山登レ一二〇八 日本海軍の暗号 付・日本陸軍の暗号
著者名 宮内 寒彌
発行日:昭和50年5月27日
出版社:六與出版
形式:四六版(549P)
目次
序章 「新高山登レ1208」発信
第1章 「暗号文の作成と発信」
第2章 日本海軍の暗号
第3章 日本海海戦と暗号
第4章 「海軍暗号」略史
第5章 暗号要員の教育と配置
第6章 日本陸軍の暗号
第7章 被解読と非解読
第8章 軍令部特務班と大和田通信隊
終章 終戦と暗号
ストーリーの概要
国の運命を大きく変えた一通の暗号電報。その理論と実際はどのようであったのか。今や幻の書となった海軍暗号書を公開、駆使し,著者の暗号員としての体験を通じて追求した日本海軍情報戦小史。陸軍暗号についても詳細に記述。

「新高山登レ1208」は、太平洋戦争開始を指令した海軍暗号で、その発信着信の経緯の探索から敗戦直後の暗号書の埋蔵秘匿の事情に至るまで、著者が手を尽くせる限り、聞きただし、探り歩いて究め尽くす。(文芸評論家:佐伯彰一氏)

連合艦隊司令長官山本五十六の死が、暗号の解読によるものと言われているが、実際には、日本の暗号はどうなっていたのか。海軍暗号員の経験を持つ著者が、書き下ろした暗号室の調査報告書である。「新高山登レ・・・」から日本海海戦の「敵艦見ユ・・・」にまでわたり、また各種の「暗号書」、「乱数表」なども収録されている。(作家:豊田穣氏)

本書を読み、今まで悶々としていた旧陸・海軍の暗号の実態、米軍の暗号解読の実情等が良く理解できた。
良くぞ、ここまで調べぬいたものだ。終戦とともに暗号関係書類は破棄され、関係者の口は重かったが故に、関係各書においては、素人から見てもおかしいのではと思うほど、推測から誤って書かれたものが少なくない。本書を原点に暗号戦史をもう一度読み直したい。
暗号について
内容については、要旨を書けないほど、充実しているので、目次の細部を記す。

序章 「新高山登レ1208」発信
 1「記案文」記入 2「着信者」GF 3「X日」決定までの経緯

第1章 「暗号文の作成と発信」
 1海軍暗号書D(発信用) 2第1次作業 3「分割転置符」と「指示符」 4第2次作業 5乱数 6「代用符号」 7「新高山登レ」史料(電文) 8放送通信 9送信 10受信 11海軍暗号書D(翻訳用) 12翻訳作業

第2章 日本海軍の暗号
 1開戦時保有の暗号図書および暗号機器 2暗号計画 3戦略常務用 4戦術用 5情報用 6部外共用 7雑用 8略語および呼出符号 9その他 10各種暗号 11更新(D→呂、波) 12暗号事故 13乱数秘匿乱数 14"冒頭崩れ"と「格差論」 15ストリップ乱数 16暗号区制の実施 17軍令部第4部第10課

第3章 日本海海戦と暗号
 1三六式無線電信機 2「敵艦見ユ・・・」 3「秘匿電信暗号」 4「敵艦見ユトノ警報ニ接シ・・・」 5「いろは引電信暗号」 6有線送信 7「Z」旗と「DG」旗

第4章 「海軍暗号」略史
 1「暗号書表」の沿革 2「海軍暗号書編纂委員会」発足 3「略語」の略史 4「略符号」の略史 5「海軍無線通信規約」の略語

第5章 暗号要員の教育と配置
 1暗号術学生と暗号術練習生 2兵科予備学生出身暗号士官 3暗号員の配置 4[専務暗号員」と「兼務暗号員」 5暗号部の構成 6当直勤務

第6章 日本陸軍の暗号
 1ヤン・コワレフスキー大尉 2日清・日露戦役時代 3「武官用暗号」 4日本陸軍の「多表式暗号」 5「乱字式暗号」 6「陸軍暗号」の種類と特色 7「換字転置式暗号」 8「陸軍暗号書」 9「陸軍航空暗号書」 10「憲兵暗号」その他 11「部隊暗号」 12"玉砕報告"の暗号 13「特別乱数」と「特別計算」 14原久中尉の功績 15「X日」と「D日」

第7章 被解読と非解読
 1"守るも攻むるも暗号の" 2ミッドウェー海戦の惨敗と暗号 3山本GF長官の戦死と暗号

第8章 軍令部特務班と大和田通信隊
 1解読と通信諜報 2通信解析 3学徒出身予備士官の活躍

終章 終戦と暗号
 1平文電報 2暗号書類焼却 3埋葬 4「慰霊電報」発信
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