暗号戦史
「ニ行 作品」
作品名 日米暗号戦争2 機密暗号 パープル   (「歴史への招待27」所収)
著者名 高坂 正堯、 長田 順行
発行日:S58.10.1
出版社:日本放送出版協会
形式:B5
目次
「なし」
ストーリーの概要
昭和12年、日本は完全解読不可能と確信する暗号機・九七式欧文印字機を開発。だが、その最高機密暗号も開戦時には解読されていた!?陰の戦争・暗号戦にうごめく人物群像。
暗号について
*写真:エニグマ、M-209、フリードマン、ヤードレー、暗号表、等
・ 暗号戦争の開始を告げた"西の風、晴"
  12月8日の海外放送:日本が戦争に突入したという暗号。各地の日本大使館は、外交文書、暗号機を焼却、破壊。
  在米大使館に、不審な男・日本の暗号は解読されている・・・・ヤードレーだった。
・ 完全解読不能の暗号機完成
  昭和12年、海軍・田辺技師が新暗号機完成。理論的に解読不能と判断。・・・理由が記述されている。
  山本正治(田辺技師の部下):ある程度の機構、使用規定、規約等が分からないと完全な解読ハ困難。
  堀博(在米日本大使館での使用者):百万あるいは3百万の変化があると聞いていたから、破れるとは考えなかった。
  長田順行:原理がユニーク。規約の変化数は、約10の20乗以上ある。偶然に同じセットは起こりえない。
・ アメリカの解読作業班
  九七式はアメリカの解読班を困惑させた。20ヶ月近くの歳月をかけた。解読過程は発表されていない。
  昭和15年9月25日、解読される。暗号機は「パープル」、解読電報は「マジック」。
  長田:使用のミス・同じ規約を使った暗号文が多数手に入った。機械暗号がない大使館が、同一電文を他の暗号で送った。
      若いクラークと言う解読者が、ロータリースイッチのヒントを考えた。・・・・使用法の誤りが最大の原因。
・ 解読された形跡はない!との自信
  解読されていると言う情報、徴候はあったが、理論的に解読不可能と言う過信。
   ・・・処置は機械に「国家機密」と書いただけ。
・ システムの問題をすりかえる日本人の発想
  システムが悪いと考えず、誰かが悪いと考える癖。
  真珠湾攻撃に関する暗号は解読されていなかった。優先順位を下げていた。海軍の規律。
・ 情報より雰囲気を大事にする民族
  日本人は、国際情報等を軽視、井戸端情報は重視。

*パープル製作者・田辺一雄のこと
 九七式を開発、功績により終戦時に少将。数名の技術者のみで、アイデアは一人で考えた。
 その後、三式換字機(エニグマのようなもの)、光線式電話高速通信、無縁操縦潜水艇「摂津」等を研究、戦後は信号の研究をされに進め、暗号利用の金庫、盗難防止器、日本銀行の防犯システム等を設計開発。

*乱数表なんてナンセンス : 星野 仙一
 野球に於けるサイン(乱数表)はナンセンス。

*現代の暗号 : 一松 信
 非対称暗号系:公開鍵暗号、公衆暗号系・・・RSA暗号
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