暗号戦史
「ニ行 作品」
作品名 日露戦争を演出した男モリソン 上・下
著者名 ウッドハウス瑛子
発出版:S63.12:東洋経済新聞社

発行日:H16.11.1
出版社:新潮社
形式:新潮文庫
目次
上巻:
プロローグ
T 暴露
U 工作
V 開戦
下巻:
V 開戦(承前)
W 惨勝
X 講話
エピローグ 
ストーリーの概要
日露戦争は「モリソンの戦争」だった。
1897年春、豪州人ジャーナリストのG.E.モリソンはロンドンタイムズ特派員として北京に着任した。そしてイギリスの在清利権をロシアが侵そうとしていることに気付いた彼は、ロシア南下の驚威に苦しむ日本に対露決戦を焚きつけるべく情報戦を仕掛け始める。
日英同盟の力を背景に旅順開城、奉天占領、日本海海戦とぎりぎりの勝利を収めた日本は、ルーズベルト米大統領の仲介で終戦にこぎつける。が、ポーツマス講和会議でロシア全権ウィッテの巧妙なマスコミ操作に翻弄される日本を見て、その後モリソンの心は徐々に反日に傾く。
「武力で勝ち外交で負けた」と言われる日本外交の欠陥を浮彫りにした。

日露戦争の「陰の仕掛け人」と呼ばれるモリソンの日記をもとにその暗躍を描き、開戦から講和までを国際的視野から捉えた画期的労作。

目次の細部:
T  暴露
 1 世紀のスクープ    2 日本外交、元服す   3 北京名物ドクトル・モリソン   4 手詰り
U 工作
 5 日英同盟   6 満州再燃   7 吠える戦争屋   8 カイザーの画策   9 「開戦の好機を逃すな」  10 開戦への駆引き
V  開戦
 11 奇襲攻撃   12 神出鬼没の特務班   13 タイムズの勇み足


V開戦(承前)
 14 日本軍部と外国人記者   15 恋多き男   16 露清銀行取付け工作
W  惨勝
 17 忠血に染まる要塞   18 ステッセルの不名誉な降伏   19 ぎりぎりの「連戦連勝」   20 講話外交の駆引き
 21 講話の潮どき   22 モリソン、ポーツマスへ
X  講和
 23 外交的決闘の行方   24 行き詰まる交渉   25 ルーズベルトの介入   26 和平成立   27 武力で勝って、外交で負ける    28 東西の島国帝国

暗号について
上巻:
・「11 奇襲攻撃」:真珠湾攻撃に関わる暗号解読に触れているが細部はない。
・同上:暗号ではないが、日本はロシアの旅順・芝罘間電線を切断、旅順を孤立化。その他通信戦に関わる話がある。
下巻:
・「14 日本軍部と外国人記者」:ロシアのスパイが船内にビア樽の中に隠しで暗号文書を運ぶ。船長が不審に思い、発見。
・「22 モリソン、ポーツマスへ」:モリソンと本社のやり取りに暗号を使用。
・「25 ルーズベルトの介入」:ロシアがアメリカ・日本の暗号を解読していた話。
・「26 和平成立」:米が重要な情報をドイツの外交暗号を使用して発信する話。
・同上:大阪朝日の記者が検閲を避けるため、会社ではなく自宅に暗号で記事を送った話。
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