暗号戦史
「ニ行 作品」
作品名 日本陸軍暗号はなぜ破られなかったか   (「歴史と人物 60年冬号」所収)
著者名 座談会 : 釜賀 一夫、 藤原 邦樹、 吉村 昭
発行日:S60.12.1
出版社:中央公論社
形式:雑誌
目次
「なし」

*太平洋戦争シリーズ
概要、暗号について
*参謀本部の若々しい頭脳は無限乱数を実用化し、戦後、米軍をしてパーフェクトと言わしめている。
・ 「解読」と「翻訳」はちがう
  「解読」:暗号書なしに解くこと
  「翻訳」:暗号書を持って解くこと・・・・飛行機が落ちて暗号書を取られ、その結果、暗号を解かれた。
       「海軍乙事件」:海軍の古賀連合艦隊司令長官の飛行艇が不時着、ゲリラに捕まり暗号書を取られる。米は、社員撮影後、海に戻し、取っていないと偽装した。
  通信文を盗読する手段:@本当に解読する。A暗号書を取って訳す。B通信文を盗む
・ 参謀本部に着任するまで
  釜賀:師団司令部で暗号の普及教育・・参謀本部・原大尉、続いて2ヶ月の通信学校教育、第12師団司令部暗号班長
      14年春:参謀本部長期学生第1回生、通信学校にて3ヶ月
      引き続き、参謀本部内にて半年勉強、しかし、1ヵ月後ノモンハン事件の航空兵団司令部暗号班長へ
      16年7月、参謀本部着任、通信課暗号班・・・班長以下7名
  藤原:通信学校の長期学生第4回生、16年8月、参謀本部へ:通信暗号、憲兵暗号、謀略暗号(秘密インク)担当
・「上海号事件」の衝撃
 ・当時は、航空機が暗号書を積んでは落ち、積んでは落ちた。何種類も積んだので50種類以上の暗号がダメになった。
 ・支那方面航空軍暗号班長・田中少佐・・・事故の責任から自決
 ・「上海号事件」:吉村昭著「大本営が震えた日」参照
  ・ 人間はどうでも落ちた飛行機を爆撃しろ。辺りのものを全部吹っ飛ばせ。
  ・ 支那の暗号は解読できていた・・・・重要書類、暗号を取った気配なし。ホッとする。
・無限乱数の仕組みと着眼
 ・「特別換字表」あるいは「特別計算表」の準備。
 ・特別無限乱数表」・・「特別乱数」「特乱」・・・世界中に2枚しかない乱数表・・・・4数字を書いた紙を利用して作った。
・弱かった海軍暗号
 ・戦術用暗号も第1線は殆ど乱数を使わない。
 ・海軍は事故が起こってもすぐには暗号を変えられない。無限乱数の教育が間に合わなかった。
 ・外務省と海軍は同一の機械暗号機を使用。ローマ字とカナとの差。
 ・陸海の共同が少なかった。共同したら参謀本部に怒られた。
・無限乱数を使った訣別電
 ・ビルマ方面の暗号が一時解かれた。・・・コードブックが取られ、同じ乱数を使うと解かれる。・・・特に船舶用暗号
 ・活版印刷した暗号書は、X線を当てると字が浮かぶ。アッツ島ではこうして米軍に取られた。
 ・アッツ島の山崎大佐は最後の「多に策無きにあらざるも」と言う名文を無限乱数で打った。、硫黄島の栗林中将も。
 ・ノモンハンの小松原師団の暗号班長・小倉中尉は、コードの半分以上を暗記。それを利用し最後の電報を打電。
 ・陸軍は、開戦時、「陸二」、「陸五」まで使った。「陸六」を作ったが間に合わなかった。
・アメリカ軍暗号を解く
 ・敵信の解読には高井戸に特殊情報通信部があった。
 ・解読についても学者を動員してやった。ノーベル賞クラスの数学者・・・・上諏訪で解読実施。・・・数学研究会
 ・IBMの統計機の活用・・・カードの手配。
・占領軍に出頭して
 ・通信課長・中野大佐・・・「コンプリートリー・パーフェクト」と米軍に言われる。
 ・米軍の機械暗号を実際に解いてみせる。・・・待遇が良くなる。
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