暗号戦史
 「タ行 作品」
作品名 大陸通信戦記
著者名 野元 巳郎
発行日:1985.9.20
出版社:図書出版社
形式:四六版
目次
第1章 湖北の新兵
第2章 蒲圻の内務班
第3章 昭和16年夏、漢口
第4章 通信機と暗号
第5章 開戦
第6章 浙贛作戦
第7章 新兵の教官
第8章 竹筏の艦隊
第9章 上海
付録資料・陸軍式モールス符号合調音一覧表
ストーリーの概要
昭和16年3月、著者が通信兵として広島の西練兵場に入営してから、中国大陸において主として通信兵として太平洋戦争を戦ってきた戦記。
戦後約40年を過ぎ、各種戦史・戦記には通信に触れるものが無い、これでは戦いにおける通信の重要性が認識されないままで、終わってしまう。何とかして戦場通信の実態を歴史として伝えたいという思い、憂いから克明に記録。兵隊の目、下級指揮官の立場からあるがままを記述してあり、軍通信の一面を伺い知ることが出来る貴重な本である。

特に、戦場における電話線の構成要領、旧軍の無線機の実態、通信兵の教育等参考になる面が多い。
暗号について
通信に暗号は欠かせないものである。第4章に陸軍の暗号について詳述。暗号の組立・翻訳、軍隊の暗号のあり方、海軍の暗号が解読された理由についての推測等、旧軍の暗号の実態についてよく理解できる暗号ファン必読の書。ここまで、詳しく旧陸軍の暗号について書かれたものは今のところ読んだことが無い。
自衛隊の関係者に聞いた範囲で、「自衛隊(著者が執筆中の時期)の暗号は、旧軍の者とほぼ同じ要領だ。」との記述から自衛隊における暗号要領が推測できる。もっとも、最近はデジタル化されていると思われるので、単なる参考にしかならないだろうが。
inserted by FC2 system