暗号戦史
「リ行 作品」
作品名 陸軍登戸研究所の青春
著者名 新多 昭二
発行日:2004.2.15
出版社:講談社
形式:講談社文庫
目次
第1章 登戸研究所の思い出(昭和二十年四月~八月)
第2章 迫り来る戦争の足音(昭和十四年~昭和十六年)
第3章 戦火の中で(昭和十七年~昭和二十年)
第4章 焦土からの復活戦(昭和二十年~昭和二十二年)
第5章 戦後の復興期を生きて(昭和二十三年~昭和二十六年)
第6章 高度成長期を駆け抜ける(昭和二十七年~平成六年)
おわりに 長い時の経過が教えるもの
ストーリーの概要
ラジオをいじるのが大好きな科学少年は、京都帝国大学に進み、敗戦直前、東京にある“秘密研究所”に派遣される。
そこでは「殺人光線」を研究すると聞いていた。だが実際に目にしたものは空襲で焼け野原と化した東京の無惨な姿だった―。太平洋戦争の実態を融通無碍な筆致で綴る異色体験記。
登戸研究所というより、戦中・戦後の混乱期を如何に前向きに人生を歩んできたか、また、戦後の復興に当り、当時の政府の対応、在日米軍の占領政策の実態を論評しており、参考になる。下記に著者の経歴を紹介したが、素晴らしい人だと思う。

新多 昭二
1927年広島県生まれ。45年京都帝国大学工学部・戦時科学研究養成機関を卒業。陸軍登戸研究所勤務後、京都帝大工学部電気工学教室勤務。47年京都高等無線技術学校設立。60年有限会社東京エレクトロニクス研究所設立。79年北陸電気工業電算室長に。現在は、高齢者や会社役員対象にIT普及のためのコンピュータ教育機関ELSY Networkを設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)
暗号について
登戸研究所で研究した暗号関係の事例
・ 満州で捕まえたソ連のスパイが持っていた簡易モールス信号発生器。モールス信号を知らなくても信号を送れる。数字の羅列で暗号を送るスパイようとしては、便利。これを、改良した。

・ 書類を縮小してフィルムに写す。顕微鏡を逆に利用。印刷されるピリオドの上に貼り送る。このピリオドを顕微鏡で見れば、文が読める。・・・・これをヒントに秘密通信法を開発。
 一発のパルスに縮小した音声を変調。打ち合わせた時刻にこの一発のパルスを送信。受信側は逆の手続きで再現。通信時間が短いので敵からの探知不能。
inserted by FC2 system