はじめに
・ 日本軍は情報戦で遅れをとった。しかし、通信情報の重要性は認識されていた。
・ 得られた情報がそのように取り扱われ、どのように流されたのか。
1 日中戦争までの通信情報概史
・ 近代的な暗号解読研究の始まりは、大正12年のコワレフスキー大尉の招聘から。
・ 転機は、昭和4〜5年、関東軍で本格的な対中国向けの無線傍受開始。
・ 逓信省との強力、軍組織拡大に伴う通信情報関係人員・器材の拡充
2 A情報と情報記録
・ 暗号通信傍受による情報を「A情報」と呼称。「特暗」「特種情報」等の呼称もある。
・ 中国戦線では、かなりの量の暗号解読情報が活用された。
3 トラウトマン工作時の解読情報の流れ
・ 中国駐在独大使トラウトマンに広田外相は対中和平工作を依頼。この内容が中国の暗号電報を解読した海軍・陸軍に察知され、和平工作は実現しなかった。
・ アメリカ、イギリス大使館の暗号電報解読にも成功している。
・ 解読した情報の伝達は海軍が担当
4 解読情報の非公式な流れ
・ 原田熊男に海軍省調査課長・高木から暗号解読上が流れ、近衛首相や西園寺に伝わった。
・ 解読を軍部が行い、交渉を外務省が行う日本の状況は、外務省が秘密裏に交渉できないことを意味する。
おわりに
・ 暗号解読情報は、軍事、外交に生かすべく試みられた。
・ しかし、外交上の発言が解読によって軍の知るところとなり、攻撃の対象となった。
・ 当時の体性は解読情報を有効利用するには適していなかった。
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