暗号戦史
「シ行 作品」
作品名 私記キスカ撤退
著者名 阿川 弘之
発行日:S46.6.20
出版社:文芸春秋
形式:四六判
目次 (短編収録)
・ 私記キスカ撤退
・ アッツ紀行
・ 二十八年目の真珠湾
・ 荒城の月―広瀬武夫私記―
ストーリーの概要
キスカ島からの無血撤収作戦について、あまり知られていない挿話や著者にとって興味ある部分をクローズ・アップして書いた。
 ・第一水雷戦隊の武勲だけが世間に宣伝され、その上級司令部であった第五艦隊側の立場や苦心は不当に無視されているのでは。
 ・アッツ、キスカ両島を自分で見てきた・・・文筆家として恐らく戦後初めて。
項目:
・髭の木村;第1水雷戦隊司令官→指揮官により部隊は変わる
・北方の気象;あの当時の気象情報からいかにして正確な天気予報を出すか。
・キスカの生活;
  島全体が滅菌したような冷蔵庫→伝染病は発生しない。
  金庫内に大金が→盗難の恐れはない。→使い道がない。
  陸軍、海軍が仲良く暮らしていた。
・突入中止;霧が晴れ撤収作戦できず・・・決断の心境、の影響
・命なりけり
・霧の中の艦隊;収容完了
・栄光と幻影;全艦無事、幌延に帰港。
 アッツ、キスカ作戦は何だったのか?米軍は正真正銘の米国領奪回。
暗号について
*現地の守備隊との打ち合わせ;暗号はどうするか・・
 ・ 今回に限り海軍特定の暗号書による。一般暗号書の使用禁止。
 ・ 陸軍側は、打電する必要のある場合、海軍に依頼。

*気象通報の方式
 ・ カナ文字1次ないし3字→電波を出すとすぐ米潜水艦に見つかり撃沈される

*ソ連の気象通報
 ・ 海軍はヴルナ(波)と言う乱数暗号、国境警備隊は別の換字暗号使用
   通信参謀・橋本中佐は、軍令部と組む班で通信諜報の経験があり、このソ連気象暗号を解読した。

*米海軍の電波をキャッチ
 ・ 4235キロサイクルの「NERK」・・・一般的な共符(俺だ、俺だ)
 ・ 後に続く暗号電報を解読しなくては「俺」が誰かわからない。潜水艦だろう。

*艦隊と現地部隊の間の略語
 ・入港予定時刻を繰り上げる場合;2時間→「ヤ」、3時間→「ハ」、4時間→「ユ」

*海軍の隠語
 ・ 「ゼットユー」→「ZU」→「図々しいヤツ」
 ・ 「ブルーム」→「箒」→「女性の撫で斬り」
 ・ 「エヌる」→「ノロケル」
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