暗号戦史
「シ行 作品」
作品名 情報戦で敗れた帝国海軍  (「歴史と人物60.8」所収)
著者名 野村 長
発行日:S60.8.1
出版社:中央公論社
形式:雑誌
目次
「なし」
ストーリーの概要(暗号について)
緒戦に敵B-17の秘密基地を発見し、パラオ大空襲を予告した筆者(元連合艦隊司令部通信諜報班長)が指摘する、数々の問題点
*ミッドウェー海戦大敗北の一因
 ・S16.9、海軍軍令部が英仏蘇支の外国語熟達学生を判任官嘱託として約30名を採用、霞が関の海軍省第5分室で勤務
 ・この特殊任務は、対敵通信諜報業務。17.1には、70名増員
 ・方位測定とストリップサイファーの解読・・・初歩的段階で、敵状探知には程遠い・・・敗北の原因
 ・味方の企図も不明では解析困難

*開戦直前、比島の敵情を判断
 ・台湾・高雄郊外の新庄に敵信傍受所を新設。フィリピンのクラーク、ニコルス基地の爆撃機、キャビテ軍港の哨戒機の電波をキャッチし、敵状判断に貢献

*B-17退避基地の発見
 ・B-17の呼出符号キャッチ、平文交信を傍受
 ・情報と作戦が合致して、理想的な機能・・・作戦の成功

*敵機動部隊パラオ大空襲を予告
 ・通信解析による敵動向判知が開発された。暗号解読不能の状況下でも、敵の戦略企図は概ね予知し得た。
 ・通信諜報の適中に満足したが、何の抵抗も出来ない味方の不甲斐なさ無力感

*避けられたはずの痛恨の惨事
 ・敵の航空機電話は平文
 ・敵は上陸作戦を伴うのか?との質問・・・・単なる機動作戦のみと返答。しかし、司令部は上陸ありとして、司令部を移動
 ・結局、上陸作戦はなかった。移転した司令部は、長官機行方不明の上全員殉職、参謀長機は不時着捕虜に

*平文で打たれた日本降伏の要請
 ・情報を取り入れる態勢が海軍全般に確立されていなかった。
 ・参謀長捕虜により、機密文書、暗号書が敵に撮られた可能性が大・・・しかし、暗号の更新等の措置とらず
  → 参謀長の名誉問題を重視
 ・敵は、方位測定により位置を暴露しても何の被害もないと判断すると電波放射する。電文は暗号解読不能のストリップサイファーを使用。
 ・日本軍による傍受を想定して、降伏要請を平文で発信してきた。
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