暗号戦史
「シ行 作品」
作品名 情報敗戦    太平洋戦史に見る組織と情報戦略
著者名 谷光 太郎
発行日:1999.10.10
出版社:ピアソン・エヂュケーション
形式:四六判
目次
第1章 作戦と情報の相克
第2章 トップと情報
第3章 情報へのアプローチ
第4章 知力の戦い−暗号戦
第5章 情報プロの育成とその活躍
第6章 情報と戦略
第7章 組織と情報
ストーリーの概要
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とは有名な孫子の兵法である。敵味方の情報を正確に「知る」ことが勝負の鍵となるという、戦の要をとらえた言葉だ。
旧日本陸海軍が先の大戦で敗北したものも、まさにこの一点にかかっていた。ノモンハンでは入手していた情報を無視し、ミッドウェイでは暗号戦に破れ、そしてガダルカナルでは敵情報を過小評価して最悪の結果を招いた。
 なぜこうなってしまったのか。著者は軍部に巣食っていた「官僚主義」に焦点を合わせ、その上に乗って無謀な作戦を立てた幹部達をあぶりだす。
そしてその姿を国家的な規模で情報収集に取り組んだ連合国側と対比させ、日本が戦う前から敗戦を運命づけられていたことを明確に示す。
それはまさしく「情報敗戦」と呼ぶより他に無い状況だった。

目次の細部
第1章 作戦と情報の相克
 1 参謀本部作戦課長の更迭に見る情報参謀と作戦参謀の相克
 2 情報無視の独断による大敗
 3 2.26事件、ノモンハン事件、ガダルカナル戦、サイパン戦に見る情報参謀と作戦参謀
 4 海軍におけるエリート・富岡作戦課長と米国通・実松情報参謀
第2章 トップと情報
 1 トップと情報
 2 情報活用の基本はトップの継続とそのリーダーシップ
 3 情報の価値と情報への執念
 4 テクノロジーと軍事戦略
第3章 情報へのアプローチ
 1 情報参謀堀少佐の場合
 2 対ソ情報参謀達の情報活動と実力
 3 高松宮に見る情報活動
 4 参謀本部の3人の情報課長
第4章 知力の戦い−暗号戦
 1 人の育成と情報――太平洋戦争での日本側から見た電波情報戦
 2 情報と暗号と人――知力で戦った男、フリードマン
 3 英国の存亡を賭けたUボート情報戦
第5章 情報プロの育成とその活躍
 1 杉田陸軍情報参謀の活躍
 2 米海軍の情報仕官育成システム
 3 情報へのセンス――目標対象にピントを合わせた情報体制の必要性
第6章 情報と戦略
 1 日清・日露戦争と情報戦(明治と昭和の将軍)
 2 第2次大戦における戦略情報局創設者と戦後のCIAへの発展
第7章 組織と情報
 1 近代参謀制度の発足
 2 組織の硬直化・官僚化
 3 生産技術と応用力
 4 三軍の統一問題――異種部門の業務は統合的運用が必要
暗号について
第1章 作戦と情報の相克
・ 日本はポーランドから暗号システムを学んだ。ドイツのエニグマ解読の手がかりもポーランド人
第2章 トップと情報
・ 情報の専門化を積極的に育成・・ニミッツの情報参謀・レートン中佐、ハワイ・ハイポ支局のロシュホート
・ 相手に暴露されて機密漏洩を知る・・・やーどれーのブラック・チェンバー
・ 情報漏えいを信じない軍首脳・・・・海軍の情報関係者、通信関係者は「暗号漏洩」を無視
・ トップ自ら取り組んだ米軍・・・海軍の各司令官は防諜や暗号に常に気を使っていた。
・ 最高気密が新聞の第1面に掲載・・・・「シカゴ・トリビューン」紙にミッドウェー作戦の暗号情報記事・・・日本側は気づかず
第3章 情報へのアプローチ
・ モスクワに向かうクーリエ(暗号班長・金子中佐)が、列車中で謀殺され、機密書類を奪われる
第4章 知力の戦い−暗号戦
 1 人の育成と情報――太平洋戦争での日本側から見た電波情報戦
  ・ 情報部門は「腐れ士官の捨て場所」・・・情報と通信は冷視
  ・ 情報の重要性を身をもって知る・・・海軍特信班の気概
  ・ 日米開戦で予備士官の需要が急増・・・特務班、大和田通信隊
 2 情報と暗号と人――知力で戦った男、フリードマン
  ・  情報化時代の人材育成を怠るな・・・フリードマン
  ・ 「エニグマ」暗号機を徹底研究・・・フリードマン、フェビアン、エリザベス・スミス嬢
  ・ キャリアアップで出来る環境作りへ・・・MI-8、SIS
  ・ 日本軍の暗号解読だけに没頭・・・・解読できない暗号は発明されたことは無い
 3 英国の存亡を賭けたUボート情報戦
  ・ エニグマの暗号を解読せよ・・・GC&CS
  ・ 暗号解読の3本柱・・・@暗号手法の理論的解明 A暗号機の入手 B暗号書の入手
第5章 情報プロの育成とその活躍
・ 米海軍の日本海軍の動きを探る施策・・・@日本語教育 A暗号への取り組み
・ 暗号解読に執念を見せる米軍
・ 日本は情報漏えいに打つ手なし
・ 情報の専門化を積極的に育成・・・サフォード大尉、ロシュホート中尉
・ 暗号解読の技術者に大きな権限
・ 日本海軍の暗号解読にてこずる
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