暗号戦史
「シ行 作品」
作品名 真珠湾のスパイ      太平洋戦争陰の死闘
著者名 吉川 猛夫 監修
発行日:S48.11.15
出版社:協同出版社
形式:新書(協同ブックス4)
目次
序章 情報戦争とは
第1章 真珠湾への道・・・アメリカの陰謀と挑発
第2章 Z作戦構想・・・山本と史上最大の奇襲
第3章 Z作戦発動・・・新高山ノボレ
第4章 MI作戦・・・ミッドウェーを制圧せよ
第5章 D暗号と索敵・・・南雲艦隊壊滅す
第6章 レーダーの勝利・・・敗北への軌跡
終章 戦略能力と情報
ストーリーの概要
太平洋戦争をどのような観点から捉えるか。
太平洋戦争の勝敗を決定づけた情報戦争・・・この情報に対する反省の面から分析。
*よく分析し、分かりやすい表現で書かれており、太平洋戦争における情報の役割、日米のその活用の差が良くわかる。

目次の細部
序章 情報戦争とは
 1 情報と戦略 2 第2次世界大戦はソフトウェアの戦い

第1章 真珠湾への道・・・アメリカの陰謀と挑発
 3 オレンジ計画―アメリカの洞察力 4 漏れていた機密―ロシア皇帝の笑い 5 軍縮会議の裏表 6 「ブラック・チェンバー」とヤードレー 7 新橋料亭でのかけひき 8 オレンジ計画からレインボー計画へ 9 激化するスパイ戦 10 「勝利の計画」と真珠湾 11 ルーズベルトの挑発 12 ハル・ノートは対日宣戦布告か 13 「マジック」紫暗号を解読 14 最後通牒遅延の謎

第2章 Z作戦構想・・・山本と史上最大の奇襲
 15 真珠湾のスパイ暗躍す 16 山本五十六と真珠湾奇襲の発想 17 「空からの戦い」への確信 18 「山本チーム」の形成

第3章 Z作戦発動・・・新高山ノボレ
 19 火を吹く雷撃訓練 20 反諜報を展開せよ 21 大編隊攻撃の態勢 22 ハワイ作戦の戦略・戦術論 23 第2次攻撃中止の謎 24 山本以前の「真珠湾j攻撃」計画

第4章 MI作戦・・・ミッドウェーを制圧せよ
 25 敗北への序曲―情報戦の劣勢 26 焦燥と危惧―本土初空襲 27 MI作戦の構想 28 前哨戦―「伊124」潜の暗号書 29 最初の「作戦目的放棄」 30 ミッドウェー島の形勢

第5章 D暗号と索敵・・・南雲艦隊壊滅す
 31 「AF」を解読せよ 32 敵艦見えず―索敵失敗 33空母壊滅―MI作戦失敗 34 「ミッドウェー」敗北の後遺症

第6章 レーダーの勝利・・・敗北への軌跡
 35 情報認識能力の欠如 36 レーダーと夜襲失敗 37 山本機撃墜作戦 38 無視された情報

終章 戦略能力と情報
 39 失敗した「弱虫ゲーム」からの離脱 40 確率論とゲーム理論の応用 41 情報資料と情報 42 日本海軍の索敵能力 43 完全情報チームと不完全情報チーム
暗号について
情報の中でも暗号の役割の大きさについて記述が多い。

1 情報と戦略
  呂第壱乱数表の表紙の写真
2 第2次世界大戦はソフトウェアの戦い
  ソフトウェアとは、情報処理機械を有効に利用する技術・・・暗号解読班
3 オレンジ計画―アメリカの洞察力
  アメリカの作戦計画における各国家の暗号名:赤―イギリス、黒―ドイツ、緑―メキシコ、オレンジ―日本
4 漏れていた機密―ロシア皇帝の笑い
  ・日露戦争における国交断絶時、栗野駐露公使がロシア皇帝からいつになく馴れ馴れしく話しかけられ、別れの言葉を告げられた。オランダ大使館の暗号書がロシアのスパイに写真にとられ、最後通牒の電報が解読されていた。
  ・大阪朝日新聞の賠償に関するスクープ・・・記者と本社の間の暗号:「テキサスの米の収穫やいかに」「日本移民のテキサス州の米の収穫はまったく見込みなし」;"テキサス"―"ロシア"、"米"―"賠償金"、"日本移民"―"全権"
5 軍縮会議の裏表:なし
6 「ブラック・チェンバー」とヤードレー 
  ワシントン軍縮会議におけるアメリカ側「ブラック・チェンバー」による暗号解読:ヤードレーによる暴露
7 新橋料亭でのかけひき:なし
8 オレンジ計画からレインボー計画へ:なし 
9 激化するスパイ戦 
  日本国内の外国公館から暗号書等の入手:神戸のアメリカ領事館
10 「勝利の計画」と真珠湾:なし 
11 ルーズベルトの挑発:なし
12 ハル・ノートは対日宣戦布告か 
  ・11月5日の御前会議における甲乙両案に関する外交電報はすべて解読されており、甲案の次に乙案があることが前提に交渉、ハルノートを突きつけられた。
  ・マジックは、故意に誤訳甲案を最後通牒のように改ざんされ、ハルノートに結び付けられた。
   *原文「本案は・・・修正せる最後的譲歩案にして」
     誤訳「本案は・・・修正せる最後通牒にして」
     原文「破滅の淵にある日米関係を調整するため日夜たゆまぬ努力をなしつつあり」
     誤訳「日米関係は既に破滅の淵に達し、わがクコ民はその関係調整の可能性について確信を失いつつある」
13 「マジック」紫暗号を解読 
  フリードマンによる紫暗号の解読の経緯。・・・具体的記述有り
14 最後通牒遅延の謎
  何故、重要な電報の翻訳が遅れたのか。
15 真珠湾のスパイ暗躍す 
  マジックは、ハワイの電報に関して暗号解読の優先順位は低かった。ノーマーク。
16 山本五十六と真珠湾奇襲の発想:なし 
17 「空からの戦い」への確信:なし 
18 「山本チーム」の形成:なし
19 火を吹く雷撃訓練:なし 
20 反諜報を展開せよ:なし 
21 大編隊攻撃の態勢:なし 
22 ハワイ作戦の戦略・戦術論:なし 
23 第2次攻撃中止の謎:なし 
24 山本以前の「真珠湾j攻撃」計画:なし
25 敗北への序曲―情報戦の劣勢
  ミッドウェー作戦の敗北は、日本海軍の暗号が解読されたこと 
26 焦燥と危惧―本土初空襲:なし 
27 MI作戦の構想:なし 
28 前哨戦―「伊124」潜の暗号書
  昭和17年1月20日、豪州北部のポートダーウィン沖で日本潜水艦「伊124」が撃沈され、艦内にあった暗号書表等が米側に獲られた。しかし、日本海軍は何も処置しなかったために、以降この暗号書等により暗号は確実に解読された。 
29 最初の「作戦目的放棄」:なし 
30 ミッドウェー島の形勢:なし
31 「AF」を解読せよ
  ・日本の暗号更新の遅れ
  ・地点略号「AF」の意味不明:日本側に対する陽信「ミッドウェーの浄水設備故障という平文」により、日本側は騙され、「「AF」は新鮮な水不足」という電報を打ち、米側が暗号解読。「AF」は、ミッドウェーと判明される。
32 敵艦見えず―索敵失敗
  日本の艦隊の行動は暗号解読により全て米側に把握されていた。 
33 空母壊滅―MI作戦失敗:なし 
34 「ミッドウェー」敗北の後遺症:なし
35 情報認識能力の欠如:なし 
36 レーダーと夜襲失敗:なし 
37 山本機撃墜作戦
  山本の視察経過うの電報が解読され待ち伏せにあう。 
38 無視された情報:なし
39 失敗した「弱虫ゲーム」からの離脱:なし 
40 確率論とゲーム理論の応用:なし 
41 情報資料と情報:なし 
42 日本海軍の索敵能力
  ・暗号自体がお粗末、保管に無神経。日本語は難解という意識、暗号機に関する過信。
  ・日本側は米の高度の暗号は解読できなかった。
43 完全情報チームと不完全情報チーム:なし
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