暗号戦史
「ス行 作品」
作品名 スパイ   第2次世界大戦の影の主役たち (THE HIDDEN WAR)
著者名 ロバート・ホールデン    (Robert Holdane)   (訳:竹内 和世)
発行日:1983.10.30
出版社:白揚社
形式:四六判
目次
1 長い夜=Uボート、イギリスを悩ます
2 秘密工作員=ソ連のスパイ活動と暗号システム
3 名指揮者=L・トレッペルと赤いオーケストラ
4 口を割らなかった男=ルーシーとスイス諜報網
5 英雄になったスパイ=リヒャルト・ゾルゲ
6 アメリカのマジック=出し抜かれた日本
7 闇の中の男たち=スパイVSカウンター・スパイ
8 影の軍隊=特別諜報活動本部の戦い
エピローグ
ストーリーの概要
Uボートとエニグマ解読、ソ連のスパイ養成所、 トレッペルと赤いオーケストラ、ゾルゲ伝説、 真珠湾攻撃前夜、ノルマンディー上陸作戦の舞台裏など、 第2次世界大戦の闇に葬られた歴史を、 イギリスの元情報担当将校が生々しく描き出す。
(まえがき)から
私達は情報を必要とする目的を知らなかった。情報部員は、自分の担当分野においては専門家であるが、権威ある話が出来るのは、その限れレた分野だけである。情報の配布を担当するスタッフも、敵の暗号を解読する過程や、解読できた割合などについては、ないも知らないと言ってよいであろう。また、暗号解読者のほうでは、解読した暗号通信のうちどのくらいが海上での作戦で利用するのに間に合ったか、ということは知らずじまいだろう。
それゆえ、情報活動の広範な分野を網羅する本を、一人で書くことが出来る者はいないと言える。
(訳者のあとがき)から
第2次世界大戦下における水面下の戦争に光をあて、その成功尾と失敗が現実の勝敗にどんな影響を及ぼしたかを、豊富な資料と実例をもとにさぐった作品。著者は、約7年間、暗号業務を含む情報担当の一線で活躍した、血統書付きの情報担当官。
暗号について
暗号戦史を通して今後の英国の学ぶべき教訓を明らかにしようとするもので、視点が英国中心になりがちである。敵側にとって解読困難な暗号を如何に作るか、それをいかに解読するか、連合・枢軸両陣営の丁々発止の戦いぶりの描写、スパイと諜報機関の駆け引き等々。

主体は暗号・暗号解読の実話であるので、目次の細部を紹介する。

1 長い夜=Uボート、イギリスを悩ます
・Uボートの脅威 ・大西洋の航海事情 ・大戦初期における様々な発明 ・見破られていた暗号システム ・ドイツ軍、緒戦を制す ・Uボートの狼群作戦 ・敗戦の危機に瀕したイギリス ・エニグマ解読による戦局の転回 ・まさにきわどい勝負であった
2 秘密工作員=ソ連のスパイ活動と暗号システム
・スパイ養成所ガツィーナ ・40万人のスパイ網 ・世界に誇る巧妙な暗号システム ・サイファー暗号はこうして作る
3 名指揮者=L・トレッペルと赤いオーケストラ
・赤いオーケストラ ・レオポルド・トレッペルとその一味 ・トレッペルとドイツ防諜組織の暗闘 ・赤いオーケストラ壊滅 ・追われる男 ・名指揮官に贈られたもの ・赤いオーケストラへの評価
4 口を割らなかった男=ルーシーとスイス諜報網
・スイス諜報網の誕生 ・頼りになる男ルーシー ・情報が戦局を左右する ・報われない仕事 ・謎に包まれたヴェルテル
5 英雄になったスパイ=リヒャルト・ゾルゲ
・ゾルゲ日本に渡る ・スパイ組織一網打尽 ・ゾルゲ伝説
6 アメリカのマジック=出し抜かれた日本
・遅れをとった日本 ・アメリカ側、傍受解読機を完成 ・真珠湾攻撃前夜 ・すべて読まれていた日本軍の動き
7 闇の中の男たち=スパイVSカウンター・スパイ
・スパイ戦の幕開け ・情報の値段 ・盗まれた暗号と砂漠のキツネ ・屑篭を漁るスパイたち ・カナーリス提督の裏切り ・キケロ、イギリスを危地に追い込む ・イギリスのスパイたち ・機密漏洩の源を探る ・寝返ったスパイたち
8 影の軍隊=特別諜報活動本部の戦い
・SOEと各国地下組織 ・SOEの暗号システム ・オランダでの惨敗 ・原子爆弾製造を妨害する ・ノルマンディー上陸前夜
エピローグ
・機密保持について ・第2次大戦で得た教訓 ・暗号活動の重要性 ・隠れた戦争=総括
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