作品名 太平洋戦争 下 アメリカ太平洋艦隊情報参謀の証言 (And I Was There) 著者名 エドウィン・T・レートン (Edwin T.Layton) ロジャー・ピノー、ジョン・コステロ
(訳:毎日新聞外信グループ)発行日:1987.3.5
出版社:TBSブリタニカ
形式:四六判目次
全編「暗号」なので、下記に記す。ストーリーの概要 アメリカは30万通に及ぶ日本の軍事・外交電報を解読していた。一方、日本は敵の暗号を破ることができず、通信保全における欠陥を是正できなかった。開戦後一年で、情報戦の勝敗は決していた。真珠湾、ミッドウェーの真相に迫る最後の証言。
訳者あとがきより
本書は、太平洋戦争中、米太平洋艦隊司令部で日本海軍の暗号解読と無電通信解析の中心となって活躍した、故レートン海軍少将の回想録である。レートン少将は脱稿前に死去したので、米海軍日本語・情報将校のピノー大佐とジャーナリストで戦記作家のコステロが引き継いで完成させた。
・ワシントンの首脳部はマジック情報をハワイの太平洋艦隊司令部に知らせようとしなかった怠慢を指摘、自らの怠慢を隠すためにキンメルとショートをスケープゴートにした高官を糾弾。
・ミッドウェー海戦における暗号解読の功労者・ロシュホートの叙勲を、海軍省内の縄張り争いと嫉妬から妨害された、左遷された悲劇
・本書の献辞「米海軍の無電諜報班で活躍した知られざる英雄たちをたたえて」とあるのは、無電傍受と暗号解読、通信解析に携わる無名の人々の献身的な努力がいかにアメリカの勝利に大きく貢献したかを記録するのが動機。
23 開戦まで48時間
開戦前の二日間のワシントンとハワイの間の情報に関するちぐはぐな実態
(12月5日「意味するところは一つ」 12月6日「日本がわれわれを攻撃するはずはない」
24 屈辱の日
ワシントン、ハワイ、マニラ等、関係機関の当日の行動、事実。
25 「がまんならぬもの」
キンメル提督への責任押し付け、解任までの事実。
(敗戦からの立ち直り、キンメルの反撃計画、海軍長官の真珠湾視察、キンメル解任)
26 「裏切り」
ワシントンの完了による責任回避のための証拠集め
(暫定司令長官、ロバーツ委員会、ウェーキ陥落、ハワイでの審問)
27 「頂門の一針」
開戦から一ヵ月後、米の回復力、キンメル提督の描いた戦略の正当性証明。無電諜報の有効性。
(ニミッツ司令長官、敵の立場からの行動を予測する、一撃離脱戦法)
28 どこで、いつ
OP-20-Gセクションの再編、日米の無電諜報。
(無電諜報ゲーム、サフォード左遷、日本軍の混乱、地点符号「AF」、ポートモレスビー作戦)
29 「攻撃は最大の防御なり」
日本本土空襲の成果
(ドゥーリットルの東京空襲計画、ミッドウェー作戦の決定)
30 戦雲
南西太平洋における海戦
(「敵の意図を知る」、サンゴ海海戦、最初の空母決戦)
31 科学と熟練
ロシュホートの分析にワシントンが折れる。
(MI作戦始動、情報評価をめぐるワシントンとの対立、「AF」はミッドウェー)
32 「ここでは仕事に熱くなりすぎるな」
ミッドウェーに関する不眠不休の暗号解読
(「N日」はいつか、「AF」に関する偽電、「N日」は6月4日か5日)
33 「われわれの歴史の輝かしい1ページ」
ミッドウェー海戦の実態
(出撃、索敵、攻撃、「最初の決定的敗北」)
34 ガダルカナル
ガダルカナル作戦の実態
(消耗戦、戦局の転換点)
35 「私は戻らないだろう」
レッドマンらによるロシュホート更迭の事実
(レッドマン一派の陰謀、ロシュホート更迭)
エピローグ 東京湾へ
(潜水艦戦、山本機撃墜、見方の過大戦果報告、フィリピンへの道、終戦)