海外の暗号小説
第70話 ヒトゲノム2分で解読・・・装置「シーケンサー」高速化 H21.1.31
前回の暗号余話第69話で「日本人の遺伝情報解読へ」を書いたが、昨年の「11月23日」 読売新聞で『ヒトゲノム2分で解読・・・装置「シーケンサー」高速化という記事を見つけた。

たまたま、ヒトゲノムに関する記事だったが、前回のものは、日本人の遺伝子について解読を集中して進めるもの、今回の記事は生物全般のゲノムを圧倒的なスピードで解読する装置の話だ。

「次世代シーケンサーは、これまでの研究方法を完全に変えてしまう力がある」と理化学研究所横浜研究所の林崎良英・オミックス基礎研究領域長は強調。

*DNAシーケンサー:DNAの塩基配列を自動的に読み取る装置

1990年にはじまったヒトゲノム計画では、1日約100万基を読む高速機器が活躍。27億ドルをかけ、30億塩基を予定より2年早い13年で解読した。
だが、現在では、欧米企業が当時より100〜1000倍早い装置を次々にものにしている。
背景には、米国で2003年に始った「1000ドルゲノムプロジェクトがある。ヒトゲノムを1000ドルで解読できる装置を開発する事業だ。欧米の3社は1日に1億〜数十億塩基も読めるシーケンサーを作った。
林崎領域長は「単にDNAの配列を早く読めるだけではなく、遺伝子がどのように機能するのかを調べることができ、細胞内での様々な働きを高速解析する装置ととらえるべきだ」と述べる。

これまでがんなどの病気の細胞を研究する際、基本的には狙った一部の遺伝子やたんぱく質しか調べられなかった。次世代シーケンサーを使えば、全ゲノムから発祥の仕組みを総合的に把握できる。11月6日には、米ワシントンチームが白血病患者のがん細胞ゲノムを初めて解読したと発表した。正常細胞と比べると、がんの進行に関係すると見られるふたつの遺伝子を含む10の遺伝子に遺伝子が見つかった。

*近年、中国がゲノム研究に力を入れ始めた。北京ゲノム研究所などは10月、世界で初めてパンだのゲノムの概略を解読したと発表。パンだのゲノムは人間とほぼ同じ大きさだが、約7ヶ月で完了。アジア人のゲノム解読にも始めて成功した。

*米英中の3カ国が、今年(H20)年1月、3年間で様々な国の1000人の分のゲノム解析を行う「1000人ゲノムプロジェクト」を開始した。薬の効き目や副作用は人種差がある。プロジェクトはこうしたゲノム多様性の解明を目指す一大事業だが、日本は参加していない。

**この辺が前回書いた「日本人の遺伝子情報解読へ」につながるのか?・・・国際的なゲノム研究から立ち遅れる状況に国も危機感を感じているのか?
*文部科学省は、補正予算に25億円を計上し、最新鋭の次世代シーケンサーを5〜10台購入することを決定。大量のデータの解析装置も同時に整備する。経済産業省も、新型万能細胞の産業応用を目指す事業に2〜3台の次世代シーケンサー整備費10億円を投入する。
・・・・補正予算で認められたのであろうか?国会の不毛の論戦を聞いていても全く不明。

進化は止まらない。・・・米ベンチャー「パシフィック・バイオサイエンシス」が10年に発売予定の装置は、1時間で1000億塩基が読める。計算上、ヒトゲノムを2分で解読する速度だ!

*高速装置の普及は、従来指摘されてきたプライバシー侵害の恐れに、より現実味を持たせる。本人の知らない間にゲノム情報が読まれ、それを基に病気のかかりやすさや能力、正確などを調べ、就職や保険加入で差別する事態になる恐れもある。
・・・・・法令の整備の必要盛大!
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