海外の暗号小説
第72話 「宮田参謀」という偽名 H21.2.22
語られなかった「皇族たちの真実」:竹田恒泰著を読み、面白い内容があったので紹介する。
竹田氏は、旧皇族の竹田家出身である。数年前に生じていた「女系天皇」を認める議論が噴出したとき、危機感を感じてこの本を執筆したという。

2000年以上続いた皇室の歴史の中で、3回あった皇統断絶の危機に、いずれも傍系の男性皇族が即位して皇統を繋いできた。2000年以上続いた伝統と文化をこんなに簡単な議論で葬り去ってよいのか。議論は尽くしたのか?先人達の知恵を学んだのか?美しい国を支えてきた日本らしさを失ってよいのか?等々、皇室の伝統とその維持について熱く語っている。
目次
序章 竹田家に生まれて
第1章 万世一系の危機
第2章 戦争と皇族
第3章 終戦と皇族
第4章 占領下の皇族
第5章 雲の上、雲の下

ここで述べたいのは、皇室の伝統の件ではない。

第3章 終戦と皇族 「皇族男子召集」の中に『「宮田参謀」という偽名』という項がある。

・竹田宮恒徳王も皇族として特別扱いされることに抵抗した一人

・昭和13年:陸大卒業、満州ハイラルの第14連隊第3中隊長任命。前線への出動を前に内地(日本国内)に戻す動きあり。納得できない宮は陸軍省人事局長と電話で激しく口論、希望が受け入れられ、中隊長として戦地へ。

・宮は、戦闘に加わるなら皇族の身分を隠したほうが良いということになり、『竹田宮』をひっくり返し「竹」を「武」に替え、『宮田武』と変名。以降、中隊は『宮田中隊』と呼ばれた。参謀になってからも『宮田参謀』で通した。日本軍の中でも特定の者以外は皇族の竹田宮とは知らなかった。

・昭和17年宮田参謀は数人の参謀とともにプロペラ機でバターン半島からコレヒドール上空を飛び、戦況を視察。戦後、GHQのウィロビー少将に会って「はじめまして」と挨拶すると、少将は「初めてではない」と言い、宮が納得しない顔をすると、少将は「1942年(昭和17年)、あなたは飛行機でコレヒドールの上空を飛んだでしょう。その飛行機には赤い吹流しがついていた。そのときあなたに会いましたよ」と言って笑った。

・確かに宮田参謀の乗った飛行機には味方から撃たれないように赤い吹流しがつけられたいた。『竹田宮=宮田参謀』と言うことはかなり早い段階で米軍には分かっていたということだ。宮は当時の米軍の諜報活動の凄さを思い知らされたのだ!

・「マッカーサーは、エンペラーのお使いがここまで飛んできたということは、日本軍がもうはっきりと自信をもってきた証拠だとみて、フィリッピンを捨て、豪州に退く決心をした」と少将は語った。

・マッカーサーは、一参謀として視察に来た竹田宮を、皇族のお使いとして来たと理解したのだった。

*このようなことからも、VIPの秘匿名(暗号化)と敵による情報活動による解読の一面が見られる。
inserted by FC2 system