海外の暗号小説
第73話 三十余年前の長島茂雄 H21.3.3
古い資料であるが、「THIS IS 読売:1997年1月号」の記事から

囲碁のプロ棋士・中山典之氏の「囲碁サロン」というエッセイで、テーマが「三十余年前の長島茂雄」。今の時点でいえば、四十余年前ということになろうか。

昭和38年の秋、東京紀尾井町の福田屋旅館での囲碁第2期名人戦(第6戦か第7戦)において中山氏が記録係を担当したときの話。対戦は藤沢秀行名人タイ挑戦者坂田栄男本因坊。

この大局に、巨人軍長島茂雄三塁手が1時間ほど観戦、翌日のスポーツ新聞に「長島選手、名人戦を語る」と題して、かなりのスペースを占めたきじが載った。
「イヤア、凄かったねェ。碁だというから、二人だけが密室で静かに打っているんだろう、と思うでしょ。ところが、
 *ここからが面白い。注記なしで、書いて見る。(記事には、括弧書きで囲碁用語が書いてある。)

観客がかなりいて、アンパイヤが1球1球コールし、選手も掛け声を発しながら球を打ってるんだ。凄い迫力だったよ

 *ここだけを読むと、とても囲碁の記事とは思えない。1種の暗号かと感じたので、ここに紹介した次第。

「観客(
関係者)がかなりいて、アンパイヤ(記録係)が1球1球(1手1手)コール(秒読み)し、選手(対局者)も掛け声(うめき)を発しながら球(碁石)を打ってるんだ。凄い迫力だったよ」

中山氏は、「記録係の仕事が忙しく、隣に長島氏がいたことには全く気がつかなかった。」とのこと
中山氏曰く:長島という人は野球がすべて人なのだ。なにもかも野球的に物を見、考えるのであれば、必ず大成するであろう。」

*最後に長島氏の話と全く違う、いろは四十八音を一度だけ用いる「囲碁いろは歌」の紹介がある。これも「いろは歌の暗号」に通じるものがあり、紹介する。

   薬師歌 中山 典之 作
 薬氏(くすし)も打(う)つ手(て) 得(え)ぬ囲碁(ゐご)の
 病(やまひ)を誰(だれ)か 嘲笑(あざわら)ふ
 見(み)る目(め)なきゆゑ 無念(むねん)にぞ
 世(よ)はおどろけり へぼ政治(せいじ)

お見事!! 
 (*実は、本文の最後に政治に対する不満、特に当時タレントを候補者に立てる風潮があったこと等に対する批評があり、「長島が立候補したら困ってしまう」と言うことが書いてある。それがあり、最後に「へぼ政治」が出てきたと思われる)
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