海外の暗号小説
第83話 大乱歩展を観て H21.11.22
横浜・山手、港の見える丘公園内にある県立神奈川近代文芸館で催されていた「大乱歩展」に行ってきた。(2009.10.3〜11.15)
感動しました!!

「大」なんてつくと、概してたいしたことのない展示会が多い。しかし、この「大乱歩展」は良かった。
江戸川乱歩の全てがわかるようだった。展示物が豊富で、説明も分かり易く、ガイドブックも満足する内容だった。

特に小生にとっては、日本の暗号小説の代表作である「二銭銅貨」に関する展示物に目を引かれた。
* 「秘密小説二銭銅貨粗筋」(1920.5.10)
 ・ 巻紙に筆で書かれていた。
 ・ 登場人物の設定が一組の夫婦
 ・ 新聞記事の「紳士泥棒」に関する概要・・・事実、発見、犯人、裁判、懸賞
 ・ 妻の印刷屋行き
 ・ 夫の変装外出
 ・ 夫の説明・・・二銭銅貨より古紙発見、点字暗号
 等について構想が書かれている
* 「小説二銭銅貨」草稿(1920年ころ)
 ・ 江戸川藍峯の筆名で書かれており、序盤までの14枚。
 ・ 二銭銅貨をめぐる夫の行動を妻が語る形式
* 「探偵小説二銭銅貨草稿」(1922年9月26日)
 ・ 大阪守口六八九ノ三にて寄稿(書名の下に書かれている)
 ・ 大正五年当用日記に書かれている。
 ・ 登場人物を二人のインテリ青年に変えている。
 ・ 暗号文の屋号が「赤城下扶桑堂」「木村商店」
* 「新青年1923年4月号」

その他、出展品は数多くあるが、江戸川乱歩について感じたことは
* 整理魔・・・当時の海外の探偵小説、日本の古典等々を集め、分類整理し、蔵書棚に納めている。
* 記録魔・・・自分の経歴、著作暦等を「出生より47歳までの鳥瞰図」、「自著目録」として纏めている。
* メモ魔・・・・各種様々なことをメモしている。あるいは記録している。
* 翻訳家・・・海外の探偵小説を翻訳している・・・ちょっと驚いた!
* 職業遍歴・・・成功するまでの苦労が浮かぶ
* 交際の幅が広い・・・手紙が多い
等々

やはり、凄い作家だったと改めて感じた。簡単には記述できない。
次は、立教大学にある江戸川乱歩祈念センターを訪問したい。
 
inserted by FC2 system