海外の暗号小説
[ソ行 作品]
作品名 ゾディアック    (ZODIAC)
著者名 ロバート・グレイスミス  (Robert Graysmith)      (訳:イシイシノブ)
発行日:2007.6.10
出版社:ソニーマガジンズ
形式:ヴィレッジブックス(文庫)
目次
・図版で追うゾディアックの足跡 ・序章 ゾディアックを追って
1最初の被害者 2ゾディアックの正体を知る女 3殺人鬼からの手紙 4頭巾をかぶった死刑執行人 5タクシー運転手殺し 6震え上がるサンフランシスコ 7テレビで語る大量殺人犯 8霊能者の見立て 9ゾディアックに拉致された母親 10相次ぐ手紙 11知られざる過去の事件 12エイブリーの執念 13有力容疑者の浮上 14新たな手がかりを求めて 15帰ってきた殺人鬼 16殺人フィルムを持つマニア 17ついに解けた暗号 18最後の容疑者 19決め手のないままに 20闇に消えた殺人鬼
エピローグ
ストーリーの概要
60年代後半、全米を恐怖におとしいれた連続殺人鬼・・・その名はゾディアック。
殺人方法と残忍さと多様性もさることながら、暗号を使った犯行声明をマスコミ宛に次々と送り続けてくる犯人の前代未聞の異常さが、人々を震え上がらせた。
いまだに解決されていないこの事件に取りつかれ、自らの生活を犠牲にしてまで犯人の正体を暴くことに命を賭けた男達や、凶行の犠牲となった被害者とその家族達。
著者の執念の追跡によって集められた数々の証言と証拠品によって明かされる、稀代の殺人鬼、ゾディアックの全貌。

映画「ゾディアック」では理解しがたかった内容がよく分かる。
暗号について
犯人からマスコミに送られてきた犯行声明に添付されていた暗号文。・ NSAやCIAの専門家が解けなかった暗号。
*最初の暗号を、高校で歴史と経済を教えるドナルド・ジーン・ハーデンが妻の協力を得て解読する。
 ・ 先ず、暗号の種類を分析・・換字法と判断。3通の暗号文がどの順番であるかハーデンには不明だった。しかし、犯人は目印をつけていた。手紙に貼られていた切手の枚数が、「2枚」「3枚」「4枚」だった。これが分かっていればもっと早く解読できた。
 ・ 55個の記号を使用しており、各種の記号を混ぜていたため、単純な頻度だけを頼りの解読は困難だった。
 ・所謂原文仮定法になるかと思うが、犯人の立場になり、言葉を推測しつつ解読。例えば殺人犯だから、「kill(殺す)」

*次の暗号文は更に複雑で、NSA、CIAをはじめ専門家達も10年という長期間解読できなかった。
  著者のグレイスミスが、解読に成功。
 ・単純な換字法に転地法を加えていたために、専門の暗号解読者やコンピューターでも解読できなかった。
 ・多くの人々は、340もの記号で綴られたこの暗号文は、ゾディアックからの冗談で、意味のないものと考えていた。しかし、暗号の6行目の一文字を書き直している。記号に意味がないとしたら、書き直しはしないであろう。
 ・原文仮定法を中心に解読。犯人はその前の手紙で、クロニエル紙のコラムニスト「ハーブ・カーン」に触れている。そこをヒントに解読の端緒をつかむ。

暗号文T・・・「ヴァレーホ・タイムズーヘラルド」、「サンフランシスコ・エグザミナー」に送られてきた暗号文と解答
暗号文U・・・「サンフランシスコ・クロニエル」に送られてきた暗号文と解答
  以上は、ハーデン夫妻が解読したアルファベットが記されている。
暗号文V・・・1969.11.8、タースキー刑事に送られてきた340もの記号を使った暗号文・・・・著者が解読
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