日本の暗号小説
作者名 岡嶋 二人
作品名 5W1H殺人事件
発行日:S60.6.10
出版社:双葉者
形式:新書

解決まではあと6人―5W1H殺人事件」と改題し、講談社から発行
目次
第1章 WHO?
第2章 WHERE?
第3章 WHY?
第4章 HOW?
第5章 WHEN?
第6章 WHAT?
ストーリーの概要

 次々と興信所を訪れては、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。いったい、彼女の本当の目的は何なのか?やがて、それぞれの調査報告が、ひとつの輪のように繋がって隠された大事件の全容が明らかになっていく。
 斬新なスタイルで、読者に挑戦する華麗なるメドレー・ミステリー。

 平林貴子の依頼内容とは、WHO? WHERE? WHY? HOW? WHEN? そして最後に、WHAT? 

 WHO?   カメラの持ち主は誰? 持ち主は、死体となって発見。
 WHERE? 喫茶店はどこ? 涙ぐましい若いカップルの執念。
 WHY?   シートが外されていたのはなぜ? 理由そのものは簡単に勘付くが、全体とどう絡むのか不明。

 HOW?   カセットテープの音の意味は?パソコンが出始めた頃のパソコン言語。
 WHEN?  ○○はいつ戻る?

 WHAT?  ついに、各探偵の調査結果が全て絡みあう。警察の調査と探偵の調査の接点は?意外な犯人?

 推理小説だから意外性は当然だが、これは本当にそう思う。

暗号について
第4章 HOW?
 カセットテープの内容は?得体の知れない雑音のような、音楽のような音は何か?
依頼人は、その中に暗号のようなものが隠されているのでは?と言う。

 [SKANDHA]と題名のような英文字が書かれた3本のテープ。各面に「R-1」から「R-6」までの番号が。
「スカンダ」、日本語で「五蘊(ごうん)」、作曲家:毛利直行の現代音楽。原曲と聞き比べると、どこか微妙に違う。毛利に確認すると、これはサンプルとして担当の技師が作った物で他にはないはずだ。
 音の専門化が分析すると、各巻の裏面の「R-2」、「R-4」、「R-6」に、同じような雑音が入っている。「R−2」は1分程度、「R-2」は8分、「R-6」には10分以上だ。
プログラムのデータか、ファイルでは?やはり、コンピュータの外部記憶ファイルの信号だ。2進法で書かれたデータ。しかし、プログラミング言語に従ってデータを文章化すると、意味不明の文字の羅列だ!

 文字の頻度と、文章の意味を推敲し、数字の意味を解読していく。それでも不明。
 テープの「R」の意味は?「R」は「ライト」、右に回転させるのでは?「00110100」を一つ右に回転すると「0001010」、「R-2」は、2度やれと言う意味だ。多く現われる「■」のコードは134、これを2進法で表すと「10000110」、これを2度右にローテートすると「10100001」、10進法なら161、「。」だ。
このようにして、テープの雑音を解読すると、麻薬の密輸の状況が記されていた。
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