暗号理論
[ス行 作品]
作品名 数学セミナー
著者名 日本評論社  著者多数
発行日:2006.10.1
出版社:日本評論社
形式:B5、雑誌
目次
符号の数理(抜粋)
・ 「符号と暗号」: 笠原 正雄

・ 「量子化における符号と暗号(前編)」: 大矢 雅則
概要
特集【符号の数理】は、「日常生活にインターネットは必要不可欠になっているが、情報を正しく安全に扱うため、データ圧縮や暗号化などは日々進歩している。それらの基礎にある符号理論をじっくり見てみよう。」という趣旨で、記述されている。
目次で紹介した論文のほかに、間接的に暗号理論に影響のあると思われるのは、「符号化は何故必要か:岩垂好裕」、「代数的符号理論:松本隆太郎」、「通信路符号化:萩原学」、「データ圧縮:奥村晴彦」、「JPEGの圧縮アルゴリズム:光成滋生」、「オイラーに学ぶ:野海正俊」等、興味のある論文が掲載されている。

*「符号と暗号」: 笠原 正雄 (要旨)

・符号と暗号の織りなす世界
 符号と暗号とが織りなす世界とは一言で言えば、符号理論がバックボーンになって斬新な暗号技術が生み出される世界であ る。この世界は、符号理論の世界で蓄積された膨大な知識が生かされるアイデアの宝庫でもある。

・忘却秘密復元問題の不思議
 A,B,Cの仲良し三人組が10進法4桁のパスワードを使用している。三人ともこれらのパスワードを忘れてしまったら大変な事態 になることを考え、心配している。メモすることは危険、互いに教えあうことも論外。ある日、三人は素晴らしい着想を得た。
 この問題は、符号と暗号とが最も美しく協和して織りなす世界の中にあるといっても過言ではない。

・忘却秘密復元問題の解(K復元法)
 省略:「コロンブスの卵の例のように簡単に答えが分かっては感動が無い。」との笠原氏の言。勿論答えは本に載っている。

・公開鍵暗号の不思議
 1975年、ディフィー―ヘルマンによって提唱された公開鍵暗号の概念は、2000年の歴史を有する暗号の世界に、画期的という表現をはるかに超えた、革命的な思想の転換を迫るものであった、現代暗号学の胎動である。
 翌年、この胎動に呼応するようにRSA暗号が誕生したが、この暗号は現在においても公開鍵暗号の頂点に君臨している。
 RSA暗号の原理:省略

・むすびにかえて
 数学の世界での"よきもの"は常に単純な手法を生み出している。情報技術の世界では特にこの傾向が強い。では、RSA暗号よりももっと単純明快な公開鍵暗号は将来創出されるもだろうか?この問題は私達の永遠のテーマである。

「量子化における符号と暗号(前編)」: 大矢 雅則 (要旨)

1 はじめに
 20世紀半ば、シャノンの情報通信理論が現れてから、半世紀の月日が流れ、現代の情報通信技術は量子力学を基にして大きく変わろうとしている。量子情報通信の一つである量子符号と量子暗号の基礎を簡単に説明する。

2 古典系の情報通信
 通信過程を数学的理論として構成するとは?情報源から発せられたメッセージはある信号に置き換えられ、それが通信路(チャネル)を通して相手側に伝えられる。相手側は受信した信号によって、送られたメッセージが何であったかを知る。
 では、情報通信を数理物理的に取り扱うためにはどうすればよいか。
 いくつかある中で、「最後に第3者に盗まれないように、暗号化が必要になる。」と述べている。
 2.1 情報通信の数理
 2.2 ノイズと符号化
 2.3 暗号

3 量子論とは?
 3.1 不確定性関係
 3.2 ヒルベルト空間と作用素
 3.3 量子状態
 3.4 状態のその重ね合わせ
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