暗号戦史
「イ行 作品」
作品名 インフォメーション・ウォー   狙われる情報インフラ
著者名 江畑 謙介
発行日:1997.6.12
出版社:東洋経済新報社
形式:四六判
目次
はじめに
第1章 デジタル化戦場とインフォメーション・ウォー
第2章 インフォメーション・ウォーの具体的内容
第3章 インフォメーション・ウォーへの対策と諸問題
第4章 米国のインフォメーション・ウォー対策
おわりに 
ストーリーの概要
インフォメーション・ウォーとは、相手の情報機能を破壊、混乱、無能化させる新しい戦争の概念である。
敵の指揮統制機能を攻撃する従来の「情報戦」よりも、もっと大規模広範囲かつ組織的である。
コンピュータ社会への攻撃は最もたやすい。数人のオペレータとパソコンがあれば産業・経済の基盤を一瞬のうちに壊滅出せることができる。

インフォメーション・ウォーの特徴:
・前線、後方の区別がない。戦術・戦略の区別、軍民の区別も困難。しかも、攻撃の効果は瞬時であり、相手は攻撃を受けたと気がつかない効果も期待できる。
・物理的攻撃は一点に対してだが、この攻撃は面である。
・何百億円もする装置、何千人という部隊は必要でない。一人あるいは数人のエキスパートとパソコンがあればよい。しかも、その効果は絶大なものが期待できる。
暗号について
第1章 デジタル化戦場とインフォメーション・ウォー
 ・民需品の活用:移動式暗号化装置の活用による秘話機能;民間用通信機で十分。湾岸戦争の航空戦の実施だけでも総計3000万回の電話交信が必要であったから、とても軍事用の通信衛星では対処できなかった。
 ・ボスニア・ヘルツェゴビナにおける平和執行部隊、安定化部隊に米軍が持ち込んだ通信システム、ボスニア指揮統制補強システムにも民間用通信が多用されている。軍用の通信衛星は優先度や機密性が高い交信に限定。民間回線使用時に機微な情報を送るときは暗号化装置を併用し、盗聴されても解読できない(あるいは解読に時間を要する)ようにした。

第2章 インフォメーション・ウォーの具体的内容
 ・指揮統制戦:敵の電波を乗っ取り、偽の命令を伝える。
  例えば、地上管制官の声を傍受録音しておき、再構築し、管制官が実際には「攻撃せよ」と言っているのに「戦闘機のパイロットには「攻撃中止、帰投せよ」と聞こえるようにする。暗号化されていない交信に限られるが、高速で変化している戦術場面では暗号を使わない交信が多く用いられるので実用性は期待できる。
 ・電子線、心理戦、ハッカー戦、諜報基盤戦、経済情報戦、サイバーウォーフェアにも興味のある表現あり。

第3章 インフォメーション・ウォーへの対策と諸問題
 ・電子署名は、本人だけの暗号鍵を使って暗号化し、解読には別の公開された鍵を使う方式で有効である。法的に正当である保障が必要。
 ・電子図書館の危険
  電子図書館に収められている本の特定の記述や単語が入れ替えられたらどうする。例えば公文書で「竹島」が「独島」に入れ替えられる。
 ・外務省は省内LANは当たり障りのないものに限り使用し、機微名情報は直接書類にされて人の手を介して渡される。公電は、暗号化された上で国際専用回線を使用。
 ・「破れない暗号はない」。問題はどれだけ早く破られるか。
  公開鍵暗号が一般的に使われる。暗号化はデータの保護と言う点でも何もしないよりかは効果的。
 ・マイナス面はコスト増大。テロ組織や犯罪組織の情報伝達にも使え、治安当局が監視できない。
第4章 米国のインフォメーション・ウォー対策
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