作品名 |
誤算の論理 戦史に学ぶ失敗の構造 |
著者名 |
児島 襄 |
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初出:
日経ビジネス;1985.8〜86.10
別冊文芸春秋;178号
発行日:1987.4.25
出版社:文芸春秋
形式:四六判 |
目次
維新の誤算:西郷隆盛の影
「王」たちの誤算:ヒトラー支援
アメリカン・デモクラシーの誤算:ルーズベルトの理想
「平和国家」の誤算:フランスの栄光
「菊と刀」の誤算:日米関係の起点
靴と刀の誤算:日本的戦術思想の固定
陸海軍並立の誤算:国防力の分析
暗号と情報の誤算:戦略の屈折
諜報の誤算:政略の弱化
「組織と一」の誤算:個人の否認
「政治と軍事」の誤算:パットン将軍の死
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ストーリーの概要 |
歴史は、繰り返さない。しかし、繰り返しているようにも見える。
指導者が行う政策決定、決断、戦略、未来への予測といったものは、結局は、当人の「ものの考え方」が起点になっているはずであろう。
そして、その「考え方」は、指導者が所属する国家、社会の一般的な思想や思考形態から離脱したものではなく、また国民性、伝統、慣習その他で構成される文化の中に取り込まれているはずである。
戦争の発起にも終結にも、その過程と勝利と敗北にも、将軍と市民の姿にも、その動きを押し流す原動力としての「考え方」が顕示されている。
過去に確かめるべきは、だから、個人の指導態様だけではなく、その基礎を形成している「考え方」ではなかろうか。それが、歴史から汲み取る現在への教訓にもなるのではあるまいか。
(あとがきから) |
暗号について |
暗号と情報の誤算:戦略の屈折
* 四通の暗号電報
・日露戦争、太平洋戦争には、「宣戦前の奇襲」と「暗号の被解読」という共通の特徴
・日露戦争:最後通告文:3通、国交断絶文:1通・・・駐露公使栗野の処理
・ウィッテから日本の暗号解読についての示唆
・明石大佐も暗号解読の示唆を受ける・・・駐オランダ日本大使館で暗号書の写真撮影・・女スパイを就職
* 真意の秘匿その解明
・欧米では、暗号と解読技術が、兵器と同様発達。日本では相違・・・・符牒、合言葉式隠語等の部分的暗号
* 部内重視と部外重視
・一冊式暗号の欠点
・日本の守秘は、部内の責任逃れのための形式的手段にとどまり、部外編守秘になっていない。
・ヤードレーの日本外交暗号の解読成功・・・具体的例示・・・ブラックチェンバーの内容
* 守るべき国益
・太平洋戦争時の米による日本外交暗号の解読
* ミッドウェー八つの敗因
・暗号書の更新、新暗号書の配布の遅れ・・・米に解読の機会を与えた |