暗号戦史
「モ行 作品」
作品名 元軍令部通信課長の回想
著者名 鮫島 素直
発行日:S56.3.31
出版社:「元軍令部通信課長の回想」刊行会
形式:A5
(非売品)
目次
第1編 総論
第1章 序説
第2編 通信、電波関係軍備
第1章 通信、電波関係施設装備
第2章 電波兵器とその開発
第3章 人員の養成、教育、充員
第3編 暗号に関する諸問題
第1章 序説
第2章 被解読が問題になった事例の検討
第4編 通信諜報
第1章 序章
第2章 日本海軍通信諜報沿革その1
第3章 日本海軍における通信諜報沿革その2
第4章 太平洋戦争中の海軍通信諜報
第5編 主要海戦における通信電子戦
第1章 序章
第2章 主要海戦における通信、電波関係活用の跡
ストーリーの概要
(まえがき抜粋)
日露戦役において認められた無線電信は、技術の進展に応じ、海軍の通信、電波関係の編制、装備、運用面の整備は大いに進められてきた。
しかしながら、太平洋戦争の敗因の最たるものの一つとして通信、電波件関係を挙げるものがある。
戦いに勝った連合軍が指摘するのはまだしも、昨日まで死生を共にして戦った日本側同士の中で真因を深く探求することもなく、敗戦の責を通信、電波関係のみに競うとする傾向があるのは苦々しいこと。
海軍の津新、電波関係に深い関わりをもった生き残りの一人として、所信を述べ、通信、電波関係同志諸賢のために弁じ、その功罪を明らかにし、真実を児孫後進に伝えると共に、日本海軍通信、電波関係史解明の一助に資せんとするものである。

*当事者が書かれているだけあり、日本海軍の通信、電波関係の状況が良く纏められ、理解が容易である。
暗号について
主は、 第3編 暗号に関する諸問題、第4編 通信諜報であるが、第1編、第4編にも間接的には暗号に関することが触れられている。

第3編 暗号に関する諸問題
第1章 序説
 米軍に海軍の暗号が解読された事実は、米軍が各種資料を開示するまで確たることは論じ得ない。推論の詳細をここに記述する余白はない。数例について概述する。
第2章 被解読が問題になった事例の検討
1 外務省暗号
 ・ 開戦1年前ぐらいから解読されていた。その契機は、正攻法によるよりも設計窃盗の公算大。
 ・ 海軍の暗号機は全く別個のもの。開戦前には解読されていない。
2 海軍暗号
 ・ 珊瑚海海戦前後から解読され、有効活用された。
 ・ 正攻法によるものと、豪州海域で撃沈された伊号124潜水艦から暗号書類が米側に奪取されたこと。
 ・ ミッドウェー海戦時の暗号解読、山本長官の戦死と暗号等について分析記述。
第4編 通信諜報
・ 大和田通信隊を中心として敵の通信を傍受・・・・米側もこれについては評価。
・ 米英のそれに比べ歴史が浅く、比較ならないほど劣っていた。
・ 暗号解読についても一応の成果は得たが、人員、作業力不足等により必ずしもはかばかしいものではなかった。
・ 通信諜報の成果について詳述・・・・暗号解読の実例の記述もある。
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